2003年11月4日(火)「しんぶん赤旗」
自民党も民主党も悪政の推進者、どちらを選んでも二十一世紀の日本はとんでもないことになる――二、三両日に放送されたテレビの政党討論を通じて、選挙戦の構図がくっきりと浮かびあがりました。
「2005年、憲法改正に大きく踏みだします」と公約に明記した自民党。小泉純一郎首相は、「自衛隊は国軍であると誤解のないように、(憲法の)表現を改めた方がいい」と、戦力不保持をうたった九条改憲を明言(フジテレビ系)。安倍晋三幹事長も、九条改憲について「当然そうなる」「(集団的)自衛権を明記すべきだという意見が党内では主流」と、海外での戦争に気兼ねなく参加できる集団的自衛権行使に踏み込みました(NHK)。
「創憲」を打ち出した民主党は、「新しい憲法をつくることか」と問われた菅直人代表が「もちろん」と答え(フジ系)、岡田克也幹事長は「九条は非常に分かりにくい」「集団的自衛権をどうするかという議論は(党内には)いろいろある」と、九条改憲を強く示唆しました(NHK)。
選挙後待ち受けているのが、二〇〇四年「年金改革」案づくり。自民・公明連合、民主党とも、負担増・給付減で足並みをそろえました。
現行の年金給付水準は、現役の所得の59%、保険料負担は13・58%(年収比、労使折半)です。これを、「給付が50%程度、保険料も上限は(サラリーマンの負担分が)10%程度」(小泉首相)、「給付水準は50―55%。二階建て部分の掛け金は個人負担で10%」(菅代表)にしようというわけです。
しかも、国会が来年から実施すると、国民に約束していた基礎年金への国庫負担三分の一から二分の一への引き上げは、両党とも先送り。年金など将来の社会保障財源として、自民党の安倍幹事長は「やっぱり将来は消費税をあげないとだめだと思う」と発言。民主党の岡田幹事長は、「(保険料を)消費税に置き換えた方が所得の少ない人に温かい」などと、所得の少ない人に重くのしかかる弱いものいじめの消費税増税を正当化しました。
財界のもうけ優先の一方で、国民には社会保障改悪と増税、中小企業つぶしと失業の増大を押しつけてきた小泉「構造改革」。
安倍幹事長は、「改革はあらゆる分野ですすんでいる」「改革のスピードは非常に速い」(NHK)と自慢し、国民いじめをいっそう加速させる姿勢を示しました。
一方、岡田幹事長は「民間の自己努力ですすんでいるのであって、政府の施策のおかげじゃない」(NHK)と批判しますが、その理由は「中途半端」「規制緩和が遅すぎる」というもの。
「改革の方向では民主党も同じではないのか」との質問に岡田氏は「おっしゃってることは正しい」と答えました。
日本共産党の市田忠義書記局長は二日夜のNHK討論で、「議論を聞いていても、民主党は大きく変わった感じがする。憲法、消費税問題しかりだ」と指摘。「自民か民主かというが、国民の立場にたった第三の流れ、日本共産党があるじゃないかということを大いに訴えていきたい」とのべ、悪政に立ち向かう本当の野党=日本共産党への支持を訴えました。
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