日本共産党

総目次】【第1部】【第2部】【第3部1〜3】【第3部4〜12】【分野別の政策

【第1部】日本改革の提案――日本共産党はこういう日本をめざします

  1. 日本経済の民主的改革――大企業応援でなく、国民のくらし応援の政治を
  2. 外交・安全保障の改革――「アメリカいいなり」政治を断ち切り、ほんとうの独立・平和・非同盟の国へ

自民党政治を大もとからきりかえ、
「国民が主人公」の日本改革をすすめます

総選挙にのぞむ日本共産党の政策

2003年10月8日 日本共産党中央委員会

 こんどの総選挙は、21世紀の日本の進路が大きく問われる選挙です。先行きどころか、国民の「いま」の苦難をとりのぞく手だてをまったくしめせない自民党政治――ゆきづまった古い政治の枠組みを続けるのか、それとも政治と経済の弱点・欠陥にメスを入れ、国民が希望のもてる国づくりをすすめてゆくのかが問われる選挙です。そして、どの野党が、自民党政治にとってかわる日本の改革のたしかな方向と中身をしめしているのか――日本の政党のほんとうの“値打ち”が問われる選挙です。

 日本共産党は、日本の政治・経済・外交を「国民が主人公」をつらぬく方向にきりかえるほんものの改革=日本改革を、国民のみなさんに訴えてたたかいます。

日本改革の提案――日本共産党はこういう日本をめざします

 日本共産党は、ゆきづまった現状を打開し、政治でも経済でも名実ともに「国民が主人公」となる21世紀の新しい日本への進路をきりひらくために、(1)大企業応援の政治からくらし応援の政治への民主的改革、(2)アメリカいいなりからぬけだし、憲法9条の立場を生かしたほんとうの独立・平和の日本への改革――この二つの改革を、国民のみなさんと力をあわせてすすめます。

〈1〉日本経済の民主的改革――
大企業応援ではなく、国民のくらし応援の政治を

 日本経済の根本的な弱点は、経済をささえる一番の土台である国民のくらしが、粗末にあつかわれていることにあります。90年代からつづく長期不況にたいしても、大手ゼネコンのための公共事業の積みまし、大銀行のための公的資金の投入、大企業のための法人税の減税などが繰り返されましたが、肝心の国民のくらしをたてなおす対策を何もとらず、逆に痛めつづけてきました。そのために、一時的な「景気回復」は何度かあっても、結局、長期不況からぬけだすことができませんでした。この間も、大企業の身勝手なリストラや、政府による国民負担増の押しつけ、社会保障の切り捨てが、くらしを圧迫し、生活不安を広げ、景気をさらに冷え込ませてきました。

 大企業応援ではなく、国民のくらしを応援する政治をすすめ、経済をささえる最大の力である国民のくらしに活力をあたえることこそ、日本経済を立ち直らせる道、先行きに明るさを見いだせる道です。

 (1)社会保障とくらしをささえるための財政と税制の改革……日本は、国民のくらしをささえる社会保障のために国や地方が出す支出よりも、大型プロジェクト中心の公共事業に出す支出の方が極端に多いという、世界でも類を見ない「逆立ち」した税金の使い方をしています。

 この「逆立ち」財政が、国民のくらしを痛めつける根本にあります。昨年から今年にかけて、年金、医療、介護など社会保障と庶民増税などで3兆円もの負担増が国民に押しつけられました。そのうえに、来年以降、所得税・住民税の増税(配偶者特別控除の廃止)、消費税の課税強化(免税点の引き下げなど)をおこなうことが決定され、今年に続き、来年も年金給付を削減する計画で、あわせて2兆円規模の負担増を国民に押しつけようとしています。さらに、来年の国会では、保険料と給付全般にわたる年金大改悪をおこなうとしています。

 ――「歳出改革」――「逆立ち」財政をあらためる……まず、「逆立ち」した税金の使い方を大もとからあらため、国民のくらしと社会保障を予算の主役にすえる改革をすすめます。日本の公共事業費は、90年代に50兆円という世界に例のない水準にまで異常膨張しました。この異常膨張した公共事業費を、福祉・環境型に重点化させることで雇用を確保しながら、バブル前の25兆円という水準まで段階的に半減させます。年間5兆円に膨張した軍事費を「聖域」とせず、抜本的な軍縮へと転換させます。

 ――「歳入改革」――「所得の多いものは多く、少ないものは少なく負担」の経済民主主義をつらぬく……将来的には、高齢化社会をささえる新たな負担が必要となってきます。その時には、税金や社会保険料などの負担は、“所得の多いものは多く、少ないものは少なく負担”という経済民主主義の大原則にたった改革で、社会保障の財源を安定的に確保します。「所得や資産に応じて」「生計費非課税」は、近代社会が確立してきた税や負担のあり方の原則です。この大原則にそくして、大企業や高額所得者に応分の負担をもとめる改革をおこないます。高齢化社会をささえる財源と称して、所得の少ない人に重くのしかかる消費税大増税を選択することは、絶対にやってはなりません。

 (2)国民のくらしと権利をまもる“ルールある経済社会”をつくる……大企業の乱暴なリストラ、違法なサービス残業、過労死まで生み出す長時間労働、下請け企業への単価たたきなど、日本は、くらしや雇用、中小企業をまもるルールがあまりにも弱く、大企業の身勝手が野放しにされ、同じ「市場経済」のヨーロッパとくらべても異常な国になっています。

 今年のエビアン・サミットが、「企業の社会的責任を重視する」という経済宣言を採択したことがしめすように、世界では新しい流れが起きています。21世紀を「持続可能な経済社会」にするためには、経済全体に巨大な影響力をもっている大企業が、雇用・地域経済・環境・下請け企業・消費者などにたいする社会的責任をはたすべきであり、そのことを重視する経済政策に転換しようという当然の流れです。

 ところが日本では、小泉内閣が、「構造改革」などとして、“市場原理と競争”一辺倒で、目先の利益追求を最優先する「アメリカ型資本主義」「市場原理主義」を強引に持ち込んでいます。大企業の利益を増やしてやるために、リストラによる雇用破壊も、長時間労働も、下請けいじめも、地域経済を見捨てる工場閉鎖も、一切合切野放しです。このままでは日本は、世界の新しい流れにも逆行する、いっそうひどい“ノン・ルール”の国になってしまいます。これでは日本の経済社会は荒廃するばかりです。

 日本共産党は、国民のくらしと権利をまもる「ルールある経済社会」への前進をはかります。そのことによって、世界ではあたりまえの「企業の社会的責任」を大企業にきちんとはたさせ、安定した雇用の確保、環境との共生、人間らしい生活と社会など、「持続可能な経済社会」の実現にとりくみます。

 ――労働者の雇用と労働条件のために……無法なリストラ、違法なサービス残業、長時間労働をなくし、安定した仕事と雇用を確保する。

 ――金融制度は公共的責任を優先に……金融機関に中小企業への資金供給というあたりまえの責任をはたさせる。郵政民営化に反対し、庶民の貯蓄をまもる。

 ――中小企業の経営の発展のために……大型店の出店を規制し地元商店街をまもる。親企業による下請けいじめをやめさせる。納税者憲章を制定するなどにとりくむ。

 ――人間と環境との共生のために……地域レベルでの環境破壊、地球的規模での環境破壊をおさえるルールをつくる。

 (3)経済までアメリカに指図される現状から抜け出す……経済の重要な問題で、いつもアメリカに指図されていることも、日本経済の大きなゆがみになっています。

 90年代に公共事業費が年間50兆円にも膨張しましたが、これは、1989年にブッシュ大統領(現大統領の父親)が、当時の海部内閣に「内需拡大」をせまり、同内閣が公共事業に10年間で430兆円使うという「公共投資基本計画」をつくったことに端を発します。さらに94年には、村山内閣がまたもやアメリカの圧力をうけて、この計画を630兆円にまで拡大させてしまいました。

 乱暴な「不良債権の早期処理」による不況の加速も、アメリカの圧力ですすめられているものです。小泉首相は首相就任直後の日米首脳会談(01年)で、ブッシュ大統領から「不良債権処理の加速」をせまられました。「不良債権処理加速」策は、アメリカ流の銀行の資産査定や自己資本の算定などの方法をそのまま持ち込んだものであり、貸し渋り・貸しはがし・利上げに拍車をかけ、この大不況時に、経済の現場では事実上の“金融引き締め”状態をつくりだしています。

 また、日本は、国民の預貯金にまったくといっていいほど利子がつかない異常な国になっています。世界でも前例がない超低金利・ゼロ金利も、日本からアメリカに資金を流入させるために、日本の金利をアメリカより低く抑えるという政策がとられたことが発端でした。

 このように経済の重要問題でアメリカに指図されている現状をあらため、国民のくらし、日本経済の実態にそくした経済運営に改革します。

〈2〉外交・安全保障の改革――
「アメリカいいなり」政治を断ち切り、ほんとうの独立・平和・非同盟の国へ

 わが国の政府は、どんなに無法で道理がないものであろうと、アメリカの戦争を無条件に支持する立場にしがみついてきました。そしていま、アメリカいいなりに自衛隊を海外に派兵する国になろうとしています。小泉内閣は、アメリカの戦争に自衛隊を参戦させる法律をつぎつぎと制定して自衛隊を海外に送り出したうえに、いつでもどんな場合でも自衛隊を海外に派兵できる「恒久法」の制定さえねらっています。

 アメリカに追従した「海外派兵国家」の道を続ければ、世界とアジアから孤立するばかりです。日本共産党は、「アメリカいいなり」からぬけだし、自主・独立の国づくりをすすめ、アジアと世界の平和・友好に貢献する日本にします。

 (1)イラク派兵に反対し、「海外派兵国家」の仕組みづくりをやめさせる……アメリカの不法なイラク占領支配を支援するために自衛隊派兵を強行すれば、イラク復興支援に結びつくどころか、混乱をさらに長引かせ、日本はとりかえしのつかない道に足を踏み入れることになります。イラクへの自衛隊派兵はきっぱり中止すべきです。アメリカの占領費負担もやるべきではありません。

 日本共産党は、憲法9条をまもる立場で、「海外派兵国家」の仕組みづくりをやめさせ、有事法制・海外派兵法の発動を阻止するために、国民のみなさんとの共同をつよめます。

 (2)国民の利益と世界の公理にかなった自主外交に転換する……イラク戦争は、国連の「平和のルール」にたいする正面からの挑戦であり、破壊です。アナン国連事務総長も、米英の先制攻撃を「国連憲章の原則への根本的挑戦」だと批判しています。巨大な軍事力にものをいわせるアメリカの横暴勝手な世界戦略を許さず、「国際紛争の平和的解決」「武力の行使・威嚇の禁止」という国連の「平和のルール」にそった国際秩序を築き上げる課題は、国際政治と国際世論が直面する重要課題です。

 日本共産党は、国連憲章の「平和のルール」をまもり、自民党政府の「アメリカいいなり」の外交から、日本国民の利益に立った自主・平和の外交に転換します。

 (3)「米軍基地国家」の現状をあらためる……異常な「米軍基地国家」の現状をあらためます。沖縄・名護への新基地建設、神奈川・横須賀への原子力空母配備、長崎・佐世保を中心とする「遠征攻撃群」の新編成など、海外への“殴り込み”専門部隊の増強計画に反対します。ブッシュ政権がすすめている「ミサイル防衛戦略」は、アメリカの核戦略優位を絶対的なものにし、「報復」の心配なく先制攻撃を可能にしようとするものです。このような危険な計画に日本が参加することに強く反対します。

 (4)日米軍事同盟をなくし、ほんとうに独立した自主・平和の日本へ……小泉内閣が、憲法9条も平和をねがう国民世論も踏みにじって、アメリカいいなりの道をつきすすむ大もとに、安保条約=日米軍事同盟があります。圧倒的な軍事力で世界支配をねらうアメリカに日本をがんじがらめにしばりつけている日米安保は、いま、世界とアジアの軍事緊張を高める危険な震源地の一つになっています。沖縄をはじめ日本中で、「基地あるがゆえ」の苦しみを国民に押しつけています。

 日本共産党は、日本でただひとつ、日米軍事同盟からぬけだして日本を外国の軍隊のいない、ほんとうの独立国家にすること、世界とアジアの平和に貢献することを主張している政党です。安保条約第10条の規定にしたがって、アメリカに「安保廃棄」を通告します。アメリカとは「友好条約」を結び、対等・平等の新しい関係をつくります。

第2部へ

総目次へ


日本共産党ホームへ「しんぶん赤旗」へ

著作権についてリンクについてメールの扱いについて
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7  TEL03-3403-6111 FAX03-5474-8358 Mail:info@jcp.or.jp