2003年11月8日(土)「しんぶん赤旗」
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小泉・自公政権は、イラクに自衛隊を派兵するため、総選挙直後の十四日にも、基本計画を閣議決定しようとしています。
「理論的に言って、今のイラクの状況を考えれば危険がないことはあり得ない」。高島肇久外務報道官は七日の記者会見で、イラクに派遣された自衛隊も攻撃される危険があるという岡本行夫首相補佐官の発言(五日)について、こう述べました。
ブッシュ米大統領が主要な戦闘の終結を宣言した五月一日以降、武力攻撃による米兵の死者は六日現在、戦争中の百十四人を上回り、百四十三人に達しています。
米軍への攻撃は日増しに激化。十一月に入ってからの六日間だけでも、米軍の輸送ヘリが撃墜されて十五人が一度に死亡したのを含め、攻撃によって二十三人もの死者がすでに出ています。
十月末には、イラク戦争以前から活動していた国際赤十字(ICRC)事務所も襲撃されました。これを受け、バグダッドの国連外国人職員がすべて退避。スペインも大使館員を引き揚げさせるという事態になっています。厳重な警戒態勢を取っている占領当局(CPA)すら安全でなく、連日のように迫撃砲が撃ちこまれています。
アナン国連事務総長は「イラク情勢は新たな段階に入った」と強い警告を発しています。
ブッシュ米大統領は「(米軍は)任務を継続する」と表明。イラクへの軍隊派遣をちゅうちょする国に対して「そうならないことを望む」と圧力をかけています。
小泉・自公政権は「(イラクでは)継続的な戦闘は行われていない」(自民党・安倍晋三幹事長)「全土が戦闘地域というような状況ではない」(公明党・冬柴鉄三幹事長)と強弁。米国いいなりに派兵を強行しようとしています。
しかし、政府代表として何度もイラクを調査した岡本首相補佐官も認めるように、米軍の軍事占領を支援する自衛隊はどこに派遣されても、攻撃や抵抗を受ける危険があるのです。
実際、米英軍以外にもこれまで、スペイン軍やデンマーク軍に攻撃による死者が発生しています。六日には、ポーランド軍からも初めて死者が出ました。
戦死者はないものの、自衛隊派兵が検討されているイラク南部でも、スペイン軍、ウクライナ軍、ニュージーランド軍など複数の部隊が襲撃されています。
「戦闘地域には行かない」というイラク特措法の前提はすでに崩れています。イラクへの自衛隊派兵は、海外での武力行使を禁じた憲法九条を踏みにじるものです。
民主党は、政府が強行しようとしている派兵計画には反対していますが、もともとイラク問題で「自衛隊の活用」を認める“条件付き賛成”派です。「派兵反対」の国民の声を託すわけにはいきません。
同党は「政権政策」で、「創憲」=憲法改定を主張。日本が米国の戦争に自由に参加できるようにする「集団的自衛権」の容認についても「どんどん議論したらいい」(岡田克也幹事長)という立場です。
日本共産党は、自衛隊のイラク派兵計画の中止、国連中心のイラク復興とイラク人の早期の主権回復を強く求め、「戦争はしない」と誓った憲法九条をなんとしても守り抜くことを訴えています。
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