2004年1月29日(木)「しんぶん赤旗」
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政府が陸上自衛隊本隊の派兵先であるイラク・サマワ市の評議会が解散していたのに、「評議会が存在・機能している」と虚偽の答弁をしていた問題で、二十八日の衆院予算委員会で、小泉純一郎首相と石破茂防衛庁長官が答弁を撤回、二十九日には本会議を開いて小泉首相が答弁撤回を表明するという異例の事態となりました。
評議会の存在は、政府が派兵命令の根拠としていた「治安安定」の重要な柱です。それを撤回することは、派兵命令の大前提がまったく崩れ去ることになります。
この問題では、小泉首相らが二十七日の衆院本会議などで「住民の意向を反映した市評議会の存在により、治安は安定」と答弁。同日の予算委員会で事実に反すると追及され、審議が中断していました。
日本共産党の佐々木憲昭議員は二十八日の衆院予算委員会で、市評議会解散の情報を知ったのはいつかと質問。政府は二十五日に第一報が入り、二十六日朝には外務省に公電が入っていたことを認めながら、首相は「二十七日の予算委での議論の最中」に、石破氏は「二十七日正午すぎ」に、それぞれ知ったと答弁しました。
佐々木氏は、石破氏が評議会解散の事実を知ったあとの予算委でも「評議会が存立し、機能している」と答弁していたことを指摘。「昼すぎには情報を知っていながら、それを隠して意識的に違う答弁をしている。完全な虚偽答弁だ」と追及しました。
石破氏は答弁に窮したため委員会は一時間近くにわたり中断。再開後も石破氏は「(情報を)全体として分析し評価したのは予算委終了後だ」と言い逃れに終始しました。
佐々木氏は「虚偽答弁は明らかだ」とのべ、派兵命令の前提が崩れていることを強調。官邸や外務省、防衛庁に事実経過を明示した資料の提出を要求しました。
サマワ市評議会 イラク各地にある地方自治組織の一つ。評議員は、議長を含め計十二人といわれます。小泉純一郎首相は、同評議会の「存在」を、サマワの治安が「安定」と判断する根拠の一つにしていました。日本政府がおこなうイラクへの「復興支援」費も、同評議会などと協議し、配分することになっています。