日本共産党

2004年2月24日(火)「しんぶん赤旗」

イラク派兵の深層(2)

アーミテージ報告

“見通しが現実のものになった”


 「われわれの同盟にとって歴史的な瞬間だ」「今日、ナイ・アーミテージ報告で示した(日米同盟の)見通しの多くが、現実のものになったといえる」。イラクに派兵される陸上自衛隊本隊への隊旗授与式の翌日(二日)、日本政府との「戦略対話」のために来日していたアーミテージ米国務副長官は、東京都内の講演で断言しました。

■同盟の再定義

 同氏が自衛隊のイラク派兵で「現実のものになった」とのべた「ナイ・アーミテージ報告」――。「米国と日本 成熟したパートナーシップに向けての前進」と題するもので、二〇〇〇年十月、アーミテージ氏やナイ元国防次官補ら対日政策の専門家によって作成されました。

 報告は「米国と英国との特別の関係を日米同盟のモデルとみなす」とし、「日本が集団的自衛権(の行使)を禁止していることが(日米)同盟協力の制約になっている」と強調。日本に、憲法が禁じている集団的自衛権の行使を迫りました。

 イラクへの侵略戦争に象徴されるように、ともにたたかい、血を流す米英同盟のように、日米同盟を変えろ、と求めていたのです。

 米国の戦争と占領に加担・合流するため、日本が戦後初めて、戦争状態の続く他国領土に地上軍を送り込む――。アーミテージ氏は講演で「ナイ・アーミテージ報告」を作成した時には「(日本で)これほどのことが短期間に起こるとは予想していなかった」と強調。「小泉(純一郎)首相は、世界における日本の役割を再定義したという点で、新たな基準を打ち立てた」とし、「小泉首相と日本国民こそが(同報告を)実現したのだ」と力説しました。

■地上軍派遣を

 しかし、自衛隊のイラク派兵は、日本国民の圧倒的多数の反対世論を無視し、アーミテージ氏をはじめ米政府の内政干渉的圧力、どう喝によって推し進められてきたのです。

 「ブーツ・オン・ザ・グラウンド(地上軍の派遣を)」。イラク戦争直後、米政府の強い要求で小泉首相が昨年五月の日米首脳会談でブッシュ大統領に約束したのが、イラクへの自衛隊派兵と「世界の中の日米同盟」=地球的規模での日米軍事同盟の「強化」でした。

 八月、イラク国内の治安情勢が劇的に悪化するなか、日本政府に躊躇(ちゅうちょ)の姿勢がみえると、アーミテージ氏は「逃げるな。お茶会じゃない」とどう喝しました。

 十月の日米首脳会談ではブッシュ大統領が「念押しのメッセージ」(「東京」十二月九日付)として小泉首相に特製ブーツを送り、首相は「私を信じてほしい」と応じたのです。

 米国の際限のない要求に従い続ける小泉首相。その姿勢に、政府の立場に近い外交専門家も「これができるのだったら、もっとやってくれという(米国の)要求は高まることになる」と懸念を示します。(つづく)


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