小泉内閣ができて2年になります。小泉内閣がこの2年間にやってきたことはなんでしょうか。懸命にがんばっている企業を「不良債権処理」の名でつぶし、倒産と失業を激増させること、「財政が大変だ」といいながら、大型公共事業や軍事費は聖域にしたまま、医療・年金・介護・雇用保険など社会保障の改悪につぐ改悪で、国民に負担増と給付削減を押しつけることばかりです。今年から来年にかけて、健保の本人3割負担、介護保険料の大幅値上げが計画され、所得税、発泡酒などの増税とあわせると4兆円もの負担増が強行されようとしています。そのうえ、いま財界からは消費税の税率を16%にまで引き上げる途方もない計画さえもちだされています。
この大変なときに、住民をまもるべき地方自治体の現状はどうでしょうか。自民党、公明党が中心の「オール与党」の自治体では、無駄な公共事業に熱中してきたこれまでのやり方が自治体の借金をふくらませて完全にゆきづまっているのに、それにはなんの反省もせず、大型開発を温存し、そのツケまわしを福祉・教育の新たな切り捨てにむけています。自治体の役割を投げ捨てるものだといわなければなりません。
その一方で、いま全国で暮らし、福祉をまもるという自治体本来の姿を取りもどそうという新しい流れも広がっています。「脱ダム」をきっぱり宣言し、福祉、教育や地域振興に力を注いでいる長野県政の前進をはじめ、各地で、住民の立場に立つ自治体の流れが広がっています。
いっせい地方選挙で、国政でも、地方政治でも、住民に犠牲を押しつけてばかりの自民党・公明党などにきびしい審判を下し、「住民が主人公」の希望ある地方政治の流れをさらに大きくしようではありませんか。そのためにも、日本共産党の議員候補と日本共産党が推薦・支持する首長候補に力強いご支持、ご支援をお願いします。
いま自民党・公明党中心の「オール与党」自治体の多くで、巨大開発やムダと環境破壊の公共事業には巨額の税金を投入しながら、住民の暮らし、福祉をまもるという地方自治体にとって一番大事な仕事を投げ捨てるという政治がまかり通っています。
政府が、財政危機を口実に、暮らしや福祉の自治体による上乗せ措置を押さえつけ、市町村合併の押しつけや地方財源の切り捨てをすすめているもとで、それに唯々諾々と従い、国いいなりで住民生活に犠牲をおわせるだけでは、何のための自治体か――その存在意義が根本から問われるではありませんか。
日本共産党は、「オール与党」と正面から対決し、この政治を変えたいと願う広い無党派のかたがたとの共同をすすめ、地方自治体が「住民が主人公」という本来の役割を取りもどすため全力をあげます。
【「暮らしと福祉まもる責任」――投げ捨てるのか、まもりぬくのか】
「オール与党」自治体の多くでは、国の制度が不十分なため自治体独自でおこなってきた制度――老人医療費助成、各種の福祉手当、福祉施設や団体への補助金、シルバーパス制度などがどんどん切り捨てられています。高齢者への紙おむつの枚数を減らしたり、中学校の卒業アルバムを有料にすることまでやられています。自治体が国の基準以上の仕事をしない――独自の仕事をしないというのは、自治体の存在意義をみずから否定するものといわなければなりません。
また、多くの自治体で、「民間でできるものは民間で」という掛け声で、学校給食の民間委託、公立保育園の民営化などが強行されています。「コストは受益者負担」などといって、国保料(税)・保育料・上下水道料金などの値上げがあいついでいます。福祉や教育など、住民にとってどうしても必要な公共的な仕事は、民間まかせにせず自らの責任で取り組んでこそ、自治体といえます。それを投げ捨ててしまっては、まともな自治体とはいえず、「営利企業」というほかないではありませんか。
だいたい、一方で、「コスト」も「効率性」も無視した公共事業をすすめながら、福祉と暮らしにだけは「効率性」の名で切り捨てを押しつける。一方でデフレ不況で物価が下がっているときに、公共料金だけは引き上げる――まったく説明のつかないでたらめなやり方です。
日本共産党が与党の自治体では、財政が困難ななかでも、ムダづかいをやめ福祉、暮らしをまもる施策が確実に前進しています。「予算の使い方をくふうして、国保税の引き下げ、在宅介護利用料の減額制度をつくった」(秋田・湯沢市)。暮らしのための施策を実行するための財源は、その気になればつくれることは、各地の経験がしめしています。今度の選挙を、暮らし、福祉の投げ捨てを許さず、医療・介護の充実、子育て支援、地域経済の振興など、住民の暮らしをまもる自治体本来の仕事を最優先でとりくむ、「自治体らしい自治体」への転換と前進をかちとる選挙にしようではありませんか。
【破綻した「開発会社」化をやめ、暮らし、福祉を「予算の主役」に】
90年代に自民党政府が自治体に押しつけた大型公共事業優先のやり方は、完全にゆきづまりました。残ったのは、飛行機がほとんど飛ばない空港、釣り堀と化した港湾、環境破壊のムダなダム、そして、雪だるまのようにふくれあがった自治体の借金だけという惨たんたるありさまです。
しかし、自民党や公明党には、なんの反省もありません。従来型公共事業を「都市再生」と看板だけつけかえて、よりいっそうの大型開発にのめりこんでいこうとしています。駅前や大企業のリストラの跡地などをつかった超高層ビルが立ち並ぶ巨大開発、高速道路網、「国際競争」をかけ声にした国際港湾、国際空港などに、巨額の税金を投入しようとしています。
しかしその実体は、東京の臨海副都心、横浜の「みなとみらい21」など、すでに破綻(はたん)した計画を、無反省につづけようというものです。東京や首都圏では「2003年問題」といわれるように、すでに超高層ビルの完成があいつぐなか、オフィスの過剰が深刻な問題になっています。大気中の窒素酸化物の急増など、環境破壊もすすんでいます。
地方はどうでしょうか。空港・港湾・ダムなど、いったん着手した大型開発はどんなに批判されようとそのまま続けながら、住民の暮らしにほんとうに必要な公共事業予算は、「都市にふりむけるから」という理由で大きく削減されています。福祉・教育の施設や住宅、生活道路、環境保全などの整備は遅れ、地域の発展や仕事への影響は深刻になるばかりです。
いま必要なことは、予算の主役をムダな公共事業から、暮らし、福祉に切り替えることです。地方自治体の根本は、暮らしの安定、安心できる福祉を確立することです。公共事業も大型開発中心から、学校の改修や改築、福祉施設の建設、住宅や生活道路、環境型重視にふりむければ、公共事業費の総額を減らしても、地元の中小企業の仕事や雇用を増やし、地域経済の立て直しにもつながります。
【合併押しつけ・財政切り捨てやめ、「地方自治」を花開かせる】
自民党や公明党は、口では「地方分権」といいながら、やっていることはどうでしょう。たとえば、いま全国で大問題になっている「市町村合併」問題です。日本共産党は、住民の合意によって、合併がおこなわれることに、一律に反対するものではありません。しかし、いま政府がすすめようとしていることは、「合併すれば大型公共事業を認める」「合併すれば財政面で有利にあつかう」などといって市町村に合併を強権的に押しつけるものです。“小規模自治体をなくす”“小規模な自治体の権限をとりあげる”などの戦後地方自治の根本を壊すような自民党や政府の調査会での一部委員の検討は、合併への脅かしの最たるものです。こうしたやり方は、「地方のことは住民の自治で決める」という地方自治の原則を乱暴にふみにじるものです。
合併を推進する最大の理由も、住民のことなどは念頭になく、自治体の数を減らしたほうが国から地方への財政支出を減らせるからというものです。現に総務省の試算では、市町村を現在の3200余から1000自治体程度に減らせば、4兆円から5兆円、地方財政を減らせるというのです。
また、来年度予算案では、学校教職員の人件費をまかなう義務教育費の国庫負担金を減らそうとしています。さらに今後は、国から地方自治体への交付税を減らそうとしています。まさに“口は出すが金は出さない”です。
いまこうした地方自治を破壊する動きにたいし、立場のちがいをこえて「反対」の声がいっせいに上がっています。日本共産党は、合併の押しつけや地方財源の切り捨てに反対し、「地方自治」が文字通り花開くよう全力をあげます。
自民党・公明党中心の政治が地方自治体に押しつけている、暮らし・福祉の切り捨て、大型開発への集中、地方自治破壊という方向があまりにひどいうえに、「オール与党」の自治体がそのいいなりになっているため、「自治体らしい自治体を取りもどそう」「地方から政治を変えよう」という運動が全国各地に広がっています。
徳島県では、吉野川可動堰(ぜき)に反対する住民運動が、「県政そのものを変えよう」という運動に発展し、無党派の人びとと日本共産党がいっしょに推薦する大田正さんが当選し、民主県政が生まれました。長野県では、「脱ダム」をかかげ、福祉・教育・地域産業に力をそそぐ田中知事が圧勝しました。熊本市や尼崎市では、無党派のみなさんが立ち上がり、政党としては日本共産党だけが応援するなかで、「オール与党」推薦の候補を破って新しい市長が誕生しました。高知県、福島県、長野県などでは、日本共産党と無党派の方々の共同の力で自民・公明連合を破り、民主自治体を次々と誕生させています。
2月2日の選挙で、岩手県陸前高田市で日本共産党員の市長が誕生し、日本共産党員が市町村長をつとめる自治体は、全国で3市7町村を数えるようになりました。これも無党派のみなさんとの幅広い共同によって実現したものです。ここでは、不要不急の公共事業を優先する利権型政治から、暮らしと福祉、地域振興に住民とともに取り組む自治体へと流れを変えて、住民から支持されてあいついで再選されるなど、自治体のすすむべき方向をしめしています。
いま地方自治体では、国政では野党の政党も含め、日本共産党以外のすべての政党が「オール与党」を形成し、それが地方政治から活気を奪い、利権政治をはびこらせ、暮らし、福祉の切り捨てを強行してきました。全国各地で無党派のみなさんが立ち上がっておられるのも、この「オール与党」政治にたいしてです。
日本共産党は、「オール与党」政治と対決してきた政党として、住民のみなさん、無党派のみなさんとの共同をなによりも大切にして、この流れをさらに大きくするためにがんばります。
日本共産党の地方議員は、いま、全国で約4400人います。これは自民党をも大きく上回り、地方政治ではだんぜん第一党です。日本共産党の地方議員は、かけがえのない「住民の利益のまもり手」として全国各地で働いています。住民のみなさんと力をあわせて、切実な要求の実現と、地方政治の改革、刷新に取り組んでいます。
【建設的提案、先駆的政策で政治を動かしてきました】
日本共産党の議員(団)は、なんでも反対どころか、建設的な提案を先駆的におこない政治を動かしてきました。議案提案権をもっている議員団は、どの党よりもこれを積極的に活用してきました。議員が一人しかいない自治体でも、住民と力をあわせ、心ある他の議員とも共同して、現実の政治を動かすはたらきをしてきました。
たとえば、全国各地の日本共産党議員団は、予算の使い方を「ムダな大型開発中心から、暮らし・福祉優先に切り替えよ」と一貫して主張しつづけ、独自の調査でムダな公共事業・開発を告発し、その中止・転換をもとめてきました。いまでは、公共事業の見直しは、あたりまえの国民世論になっています。
介護保険についても、「このままでは大変なことになる」というので、制度が導入されるときから保険料、利用料の減免を要求してきました。その結果、まだまだ不十分ですが、保険料減免は431の自治体で、利用料減免は全国の自治体数の4分の1=825の自治体で実施されています。
「乳幼児医療費無料化」が国会で最初に問題になったのは、1971年の日本共産党議員の質問でした。それ以来、文字どおり全国で、住民のみなさんといっしょになって、その実現をめざす運動に取り組んできました。今日では、中身はいろいろですが、全国すべての自治体が助成措置を設けるまでになっています。
少人数学級問題でも、父母や教職員のみなさんとともに運動をくり広げた結果、いまでは21の道県・1政令指定都市で、小中学校の低学年を中心に30人、35人以下などの少人数学級が実施され、さらに広がろうとしています。
【住民の身近な相談相手として】
いま深刻な不況のもとで、国民の暮らしは大変です。
日本共産党の議員は、全国津々浦々で生活相談に取り組んでいます。日本共産党議員がいるところでは、ほとんどの行政区で生活相談所を設置したり、弁護士などと協力して、定期的に相談活動に取り組んでいます。この活動を通して、サービス残業の不払い賃金を払わせるとか、悪質なヤミ金融から業者の経営をまもる、下請け代金を親企業に払わせるなど、数多くの成果をあげています。
この活動には、議員だけではなく地域で活動する党の支部など、党全体で懸命に取り組んでいます。
こうした相談活動は、ただ困った人を助ける力になるだけではありません。相談活動を通じて、行政のどこに問題があるか、国の政治のどこに問題があるか見えてくるのです。日本共産党議員が、議会で議案提案する場合にも、こうした生活相談がもとになったものもたくさんあります。
この活動には、他党議員からも称賛の声が寄せられるほどです。こうした活動ができるのも、日本共産党議員が「住民の利益第一」の立場に立っているからです。
【企業献金受けとらぬ清潔な党として汚職・腐敗追及の先頭に】
公共事業を食い物にする不正・腐敗の追及は、日本共産党の独壇場といっても過言ではありません。「保守王国」といわれる茨城県は、「利権・不正王国」でもありました。この10年間に、知事をはじめ15人もの市町村長が利権・不正事件で逮捕されています。日本共産党は、この底なしの腐敗ぶりを徹底的に追及するとともに、一般競争入札の範囲を拡大して公共事業を「ガラスばり」にし、指名停止基準をあらためて不正な業者を排除するなど、公共事業入札制度を改善する提案をおこない、実現させています。
前知事が汚職で逮捕された徳島県では、日本共産党を与党とする大田県政の誕生で、事実究明と責任追及の劇的な展開がはじまりました。県政はじまって以来の「徳島県汚職問題調査団」が設置され、腐敗の全容解明がはじまっています。
自民党の県連前幹事長が逮捕された長崎県でも、この問題をまっさきにとりあげ究明の先頭にたってきたのが日本共産党です。
カネの力で政治が動かされれば、住民の願いは押しつぶされます。ゼネコンなどから絶対に企業献金を受けとらない日本共産党だからこそ、腐敗を徹底的に追及し、ムダな公共事業をやめさせ、「住民が主人公」を貫けるのです。
【党議員の奮闘が自治体の民主的変化、民主的転換の力に】
徳島県、長野県、高知県などで、「住民が主人公」への自治体の大きな民主的変化がすすんでいますが、自治体が前向きの変化をおこしているところでは、どこでも日本共産党の議員(団)が大きな役割を果たしています。それまでの自治体の問題点をただすとともに、解決方法を提案し、住民とともに前進をかちとっています。
市町村の合併問題でも、情報も明らかにされず、議論もないまま、「合併やむなし」に流されている状況のなかで、党の議員が奮闘し、具体的な問題点を指摘し、議会のなかでの議論もすすみ、首長がそれまでの態度を変えて、合併にくわわらないと宣言してがんばっている自治体もあります。
いつでも、どこでも、「住民こそ主人公」の立場で、保守もふくめた人々と胸を開いて対話と共同のための努力をはかり、自治体の希望ある変化をつくるために全力をあげているのが、日本共産党議員です。議会が開かれるたびに、日本共産党議員は住民のみなさんに「議会報告」をおこなっています。
日本共産党の議員が増えれば、自治体に住民の声がとどき、住民の声で動く自治体をつくる大きな道が開かれます。こんどのいっせい地方選挙で、日本共産党議員を全国各地域で一人でも多く当選させていただき、力をあわせて「住民が主人公」の政治を実現させようではありませんか。
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