■田村智子さん(日本共産党参議院議員)私の議席は、「人間の『使い捨て』をただすためにある」という決意で一つの会社、事業所のなかでは「小さな理不尽」(当事者にとって決して「小さく」ないことは言うまでもありません!)で済まされていることが、何千、何万の「理不尽」として日本社会のなかでまかり通っていることをつきつけられました。 30代、40代の社会の担い手として成長していく世代が、経済活動、社会活動から阻害されている――日本社会にとってこれほどの損失はありません。これは「個人」の問題ではなく、日本社会の未来がかかった重大事だと、深刻な思いに駆られています。 私は2010年7月の参議院選挙で国会に送っていただき、今、厚生労働委員会を担当する議員として活動しています。私の議席は、人間の「使い捨て」をただすためにある、その決意でみなさんと心を寄せあい、力をあわせていく決意です。 精神的にも傷つき、働くことがとても苦しくなってしまった方。どんな過度のストレスがあったのか、学校教育や職場の問題を直視しなければならないと思います。 我が家の中学生の息子をみていても、生き方の模索を始める思春期に、テストの点数や内申書が指標、「高校選び」という狭い進路を考えるだけで精一杯、これでいいのかと焦燥感をいだいてしまいます。自己肯定感や自立心を育てることの大切さが強調されても、教育システムが競争とふるい分け一辺倒では、若者の自立を阻害しているのと同じです。 東京・足立区が、NPO法人やハローワークと連携して若者サポートステーションを設置していますが、視察の際、「最初は名前も書かなくてよい。大丈夫だと安心してから相談すればいい」と聞きました。そこまで他者への不信や不安を抱えている若者たちの現実に衝撃を受けました。誰かのために何かをする経験、地域のお祭りなど社会活動への参加、そして就職へのサポート。こうした取り組みに学んで、行政に何ができるのか、積極的に考え提起していきたいと思っています。 職場での「パワハラ」「セクハラ」、そして理不尽な雇い止め。労働者を取り換え可能な消耗品としていることの現れです。非正規という働き方を蔓延させ、労働者を育てる、という姿勢を企業からなくしてしまった政治の責任はなんと重いことか! 私の事務所にも労働相談が相次いでいます。一番悔しいのは、契約で雇用期間が定められているために、違法行為を告発すると自分が仕事を失ってしまうという事例が後をたたないことです。JR東日本による偽装請負を勇気をもって労働局に告発した女性は、「申告は受理しますが、これによってあなたの会社へのJRからの仕事は打ち切られて、あなたも同僚も仕事を失うことになるかもしれません。それでもいいですね」と、念を押されたと言います。違法行為を正して不利益を被るのが労働者、絶対に許されないことです。 2011年の通常国会(1月後半頃に開会と思われます)では、「使い捨て」の温床となってきた「労働者派遣法」の改正法案を徹底的に審議させなければなりません。企業に人をまともに雇い育て、良い仕事をして利益上げるという責任を果たさせるために全力でがんばります。
■プロフィール たむら・ともこ 1965年 長野県小諸市生まれ 早稲田大学第一文学部に入学 日本民主青年同盟東京都委員会勤務 1995年より8年間、日本共産党国会議員団事務局に勤務 日本共産党の参議院比例代表候補(1998年、2001年) 2006年12月、日本共産党東京都委員会副委員長に選出される 2010年7月 参議院議員に当選 家族 --- 夫、中学生の息子と小学生の娘 趣味・特技 --- 合唱、本の読み聞かせ、園芸 |