このみなさんの「切実な声」を、一人でも多くの人に読んでいただきたい気持ちでいっぱいです。真剣に「書き込まれた」実状は、一刻も早く解決されるべきものですが、現実には時間のかかるものも多くさらに深刻な状況へとすすんでいるにちがいありません。しかし「声」は「真実」を多くの人に伝えるという大きな意義があるのではないでしょうか。
まず何度チャレンジしても採用されず、生活も人生も見通しがたたないという悲劇的な状況が長期にわたり続いている人が激増しています。30代後半の人が多く「若者」の問題ではなくなってきていることが分かります。リーマンショック以後、派遣労働者が減り請負が増えていますが、「声」にあるように親企業から直接の業務指導を必要としながら「偽装」のため複雑な現場が増えています。この「偽装」を告発し「正規化」をかちとる大運動が期待されますね。
新たな特徴の一つは「空求人」「ブラック企業」など偽りの求人、違法だらけの企業が増え、一方的に賃金を下げたり、時給で生活している労働者の労働時間を減らし生活できない事態に追い込むなど許せない現状です。これらのことは労働組合の力で対決すれば必ず勝利し解決できる「違法なもの」であることを確信してください。
違法企業に「刑事罰」をという「声」がありましたが、労働基準法第13章に「罰則」規定があります。1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金、6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金などの罰則があります。残業代の未払いも「犯罪」です。悪質なケースで経営者が逮捕された事例もあります。問題は労働者・労働組合の告発とたたかいがないと行政が動かないことです。ピザチェーン店の本社のエリアマネージャーが店長を「殴る」という暴力行為はそれ自体が「犯罪」です。弁護士の力をかりて刑事事件として告訴すべきと思います。もちろん「証拠」が必要ですが。「会社で、当然のように『結婚などするな』とか、『子供作る奴は馬鹿だ』とか言われ続ける毎日」というのは当然「セクハラ」で厳しく罰せられる事例です。あきらめずに告発しましょう。
有給休暇を「買い上げよ」という気持ちはわかりますが、法律の趣旨から当然禁止されています。働きつづけるために有給休暇を職場の仲間と相談し「みなんでとるよう」チャレンジしましょう。退職時にまとめて「休暇」をとる場合、当然「賃金」を受け取る権利があり、たたかいとりましょう。
「憲法を教えるだけでなく、労基法・組合法などの労働法の教育を」の「声」がありました。長野県では学校から要請があれば労政課の人が「労働ハンドブック」をテキストに直接教育をしてくれる制度があるそうです。できれば中学・高校で全国的に「義務化」して欲しいですね。以前に日本共産党の笠井議員がこの種のことを国会で取り上げたことがありますが政府はまともに対応していません。履歴書の書式についての「声」ですが、いまはA4になり他の人がみなA4なのにB5だと、「不利」になるようです。
■プロフィール
なかた・すすむ
1937年、京都に生まれる。関西勤労者教育協会講師。京都府立大学卒業後、大阪の中学校教諭を経て、勤労者教育に専念。労働学校、労働組合、民主団体、青年女性団体、公民館、高等学校、各種団体で講演、 政治経済情勢、哲学、「暮らしと経済」「二一世紀どう生きる」「学ぶこと、生きること」「働くこと、生きること」「自分らしく輝いて」「学ぶことは生きる道しるべ」 などをテーマに、分かりやすく語りかける。
主な著書「働くこと生きること」(学習の友社)。「自分らしさの発見」(新日本出版)。 「人間らしく自分らしく」(学習の友社)