2002年4月5日(金)「しんぶん赤旗」
日本共産党国会議員団は食品衛生法の改正案である「食品安全確保法案」の要綱を発表(三月十五日)しました。同法案の必要性や内容などについて、岩佐恵美参院議員(党国会議員団「食の安全・消費者問題委員会」責任者)に聞きました。――なぜ、いま改正なのでしょうか。
岩佐 日本は、食料の六割を外国からの輸入に頼っています。主要国のなかでこのように他国に胃袋を依存しているのは日本だけです。
そのような状況のもとで、日本で禁止されているアメリカの遺伝子組み換え食品スターリンクをはじめ、ダイオキシン汚染の豚肉、鶏肉、赤痢菌に汚染された生ガキ、日本の残留農薬基準の何倍も汚染された生鮮野菜などが、国民の知らない間に食卓にのってしまうという事件が相次ぎ、輸入食品に対し、多くの消費者が不安を抱いています。
また、国内でも、一万四千人近い中毒患者が発生した雪印乳業の乳製品による集団食中毒事件、学校給食による大変な被害を出したO―157事件、ダイオキシン、環境ホルモン汚染食品や、BSE(狂牛病)汚染牛が見つかり大きな社会問題になるなど、深刻な食品汚染事件があいついで起きています。さらには、輸入食品を国産と偽装したり、産地を偽りブランド品として売る、食品の期限表示を先付けしてごまかすなど、食品業界による悪質な事件も続発しています。食の安全や表示に対する消費者の不信感、怒りは頂点に達しているといっても過言ではありません。
日本共産党国会議員団は、このような現状を変える緊急対策が必要であると考え、食品衛生法の改正案である「食品安全確保法案」を提案しました。
――食品衛生法の改正を求める請願署名が、昨年秋の臨時国会で採択されましたね。
岩佐 日本生活協同組合連合会が中心になって、千四百万人近くの署名を集めました。昨年春の通常国会では、一度不採択にされてしまったのですが、みなさんのねばり強い運動によって、秋の国会で採択にこぎつけました。消費者の切実な願いが国会を動かしました。本当によかったと思います。
私たち日本共産党も、消費者のみなさんの期待にこたえることができればと、国会の法制局とつめた相談をしながら、法案の要綱をまとめあげました。
――法案要綱はどのような特徴があるのですか。
岩佐 まず、法律で食の安全に対する消費者の権利を明確にしたことです。
日本には、食の安全を守る目的をもった法律は「食品衛生法」しかありません。ところが、この法律で保障されている消費者の安全は、業界を取り締まることによって確保されるという、いわゆる「反射的利益」にとどまっています。
そこで、法律の名称を、ずばり「食品等の安全性の確保等に関する法律」と改め、目的規定も、取り締まりから、消費者の食の安全確保を明記するということにしました。(つづく)
◇岩佐恵美参院議員に聞く〈上〉、 消費者の権利明確に
◇岩佐恵美参院議員に聞く〈中〉、 検査体制強化など改正
◇岩佐恵美参院議員に聞く〈下〉、 情報公開も明確に