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2018年2月10日(土)

主張

平昌冬季五輪開幕

対話の扉開く平和の力さらに

 「平和」をテーマにした開会式とともに、第23回冬季五輪大会が韓国の平昌で開幕しました。冬季五輪では最多となる92カ国・地域から2900人を超える選手が参加します。

 五輪は「参加することに意義がある」といわれます。それは、勝つことがすべてではないとの意味だけではありません。競技の頂点を目指し、競い合うため“集うこと”自体に大きな意義があることも含まれています。国を超え、宗教や人種、言葉の違いを超えて一堂に会する。「参加」することが「平和」に寄与することになるからです。

選手の偉大な挑戦に期待

 大会直前の1月、韓国と北朝鮮で対話が始まり、南北での参加を実現したことは極めて重要です。国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長は「五輪精神とは、互いに敬う心、話し合うこと、そして理解し合うことだ」と語り、北朝鮮の参加について「平和的な対話の扉を開いた」としました。北朝鮮の核・ミサイル開発などをめぐり緊迫の度合いを増していた東アジアの情勢にも、緩和と対話の道が開かれることが期待されています。

 開会式で韓国と北朝鮮の選手が「統一旗」を掲げ、ともに入場した場面は大会を象徴し、今後も語りつがれることでしょう。対立や緊張を乗り越え、政治ではたどりつけない姿をみせたところに、五輪運動の素晴らしさが凝縮されています。

 雪と氷の祭典に集った世界のトップクラスの選手たちの極限のたたかい、鍛え上げられた技、8大会連続という冬季五輪最多出場のジャンプ・葛西紀明選手(45)をはじめとする日本選手にも注目です。同時に今大会は、マレーシアやエリトリア、コソボなど6カ国が冬季五輪の舞台に初めて足を踏み入れます。困難な環境で頑張る選手たちの偉大なる挑戦にも気持ちを通わせたいところです。

 大会スローガンは「一つになった情熱」です。すべての選手が競技やたたかいを通じ、互いを理解し、友情を育み、心を合わせていく―。それが「平和な祭典」を豊かに彩ることは、言うまでもありません。

 スポーツの公正さを損ない、その根本を揺るがすドーピングとのたたかいも問われています。組織的なドーピングがあったと認定されたロシアは国家としての参加が禁じられました。

 背景にあるのは、メダルの獲得数によって国の強さをアピールする、根深い国威発揚の思想です。五輪憲章では大会を「選手間の競争であり、国家間の競争ではない」としています。もちろん選手の活躍は、その国のスポーツの環境や発展を示すものです。しかし、それは国力を測る物差しではありません。メダル至上主義という誤った考えを助長しないことなど、確かなスポーツ観も求められています。

未来へ向け思い描いて

 2年後の2020年には東京五輪・パラリンピックがあり、その2年後には北京冬季五輪が開催されます。緊張が高まる東アジアで大会を経るたびに、平和のとりでが築かれ、政治の世界に波及していく―。そんな未来を思い描きつつ、その最初の五輪のゆくえを見守っていきたいものです。


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