2018年2月19日(月)
奄美沖タンカー沈没 漂着油 生態系脅かす
国際NGO 政府に対策要望
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鹿児島県・奄美大島西方沖約300キロでタンカーが沈没し、同島などの海岸にタンカーのものとみられる黒い重油などの漂流物が打ち上げられている問題で、国際環境NGOグリーンピース・ジャパンは18日までに、日本政府に対し生態系や住民への影響を最小限にとどめるために、早急で適切な対応を取ることを要望しました。
要望は、▽事故現場および油類が漂着した場所の生態系への影響を見極めるために、中長期的なモニタリング体制を構築し、影響を除去・緩和するための計画を作成し実施▽目視できる漂着油を除去した後も、炭化水素が砂に入り込んだ箇所、岩などに油がこびりついた箇所は汚染物質の100%除去は困難であるため、当該地域では継続的なモニタリングの実施と、得られたデータの情報公開の実施▽海洋生態系及び海水調査の結果を地元住民に積極的に公開▽国際的な調査チームをつくり、調査データを他国と共有すること―です。
これまでに鹿児島県および沖縄県の島々にこの事故との関連性が疑われる油類が相次いで漂着しています。奄美大島の知名瀬海岸では、油を飲み込んで窒息死したとみられる絶滅危惧種のアオウミガメの死骸が発見されました。除去作業で砂浜などから目視できる漂着油が除去されても、残留物は次第に風化するまで長期間環境中にとどまります。過去の石油流出事故から、有害な残留物が砂や水中の堆積物や海洋生物の体中でとどまり、毒素が悪化することが判明しています。
水産庁は、国立研究開発法人「水産研究・教育機構」に対し、同沈没事故で流出した油による水産資源や漁場への影響調査を委託しました。同調査は、海水や動物プランクトンを採取して分析調査を行い、魚類等に油類が与える毒性を明らかにします。調査は3月12日まで行われ、結果は4月上旬に公開される予定です。環境省も14日から、流出した油による沿岸域の野生生物や生態系への影響を把握するために、船舶を使用する緊急調査を開始しました。