2018年2月21日(水)
医師への時間外労働 上限規制猶予
長時間労働放置するのか
衆院予算委 高橋氏
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「働き方改革」関連法案に盛り込まれている時間外労働の上限規制が、医師に5年間適用を猶予される問題について、日本共産党の高橋千鶴子議員は20日の衆院予算委員会で、過労死ラインを超える長時間労働が医療現場で横行している実態を示し、適用除外の撤回や現場の要望に沿った医師の増員を求めました。
高橋氏は「医師は現行の労働基準法上では除外ではない。(医師の適用猶予について)なぜそうしたのか」と追及。加藤勝信厚生労働相は「医師法に基づく応召義務等の特殊性を踏まえた対応が必要だ」などと答弁しました。高橋氏は、診療行為を求められたら正当な理由なく断れない応召義務は「元々分かっていたこと。今さら応召義務を引き合いに除外することは許されない」と指摘しました。
高橋氏は、労働時間が過労死ラインに達する週65時間以上の割合が、医師は全職業に比べて際立って高い水準であること(グラフ)や、医療機関の「三六協定」で救急医療対応などを理由に、過労死ラインの倍を超える月200時間、年2000時間などの特別条項が結ばれ、それでも守られていない実例を紹介。「命を救う医師が自分の命を犠牲にしてもよいと誰が決めたのか。特別条項に上限がないため、長時間労働を許し、常態化させてきた」と批判しました。
高橋氏は「猶予ということは5年以上月200時間や年2000時間の労働がいいことになる。それで許されるのか」とただしました。加藤厚労相は「医師である前に人間だ」と述べ、青天井の残業時間を「(施行予定の2020年から)5年後にはカバーすることを決め、それに向けて努力していく」と答弁。25年までの7年間上限規制を課さない姿勢に、高橋氏は「7年このままの状態で放置するのか」と批判しました。
高橋氏は、10年前の予算委員会で医師の過重労働の改善のため必要な増員を求めた際、当時の舛添要一厚労相が医学部の定員を抑制する閣議決定を事実上撤回し、その後定員を増やしてきたとして「ようやく各県で地元に定着する医師が出てきた」と指摘。地方に定着しはじめた医師の増員枠について現場の要望に応えることを求めました。
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