2018年2月23日(金)
残業月100時間未満でも過労死
政府の上限案 企業免罪
衆院予算委で高橋氏 提出方針撤回求める
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日本共産党の高橋千鶴子議員は22日の衆院予算委員会で、「働き方改革」関連法案に盛り込まれる残業時間の上限規制は、労使で「三六(さぶろく)協定」を結べば「単月100時間未満、複数月80時間」という過労死ラインの残業を合法化するものだと批判し、法案の提出方針の撤回を求めました。
高橋氏は、現行労働基準法では労働時間の原則は1日8時間・週40時間であり、残業の限度は週15時間・月45時間・年360時間であることを確認。2014年に事故死し、8日に横浜地裁が過労との因果関係を認めて和解が成立した会社員・渡辺航太さん=当時(24)=の事例を紹介しました。
事故発生直前の労働時間は拘束21時間42分、事故前10日間は拘束1日平均13時間51分、最長23時間。ひと月の残業時間は91時間49分でした。高橋氏は「月単位で見れば100時間に収まっている。『法律の範囲内だから』と企業を免罪することになる」とただしました。
加藤勝信厚生労働相は「今は三六協定を結べば青天井で働くことが可能。そこに規制をかけようということ」と答弁。高橋氏は「天井を過労死ラインにしたら、ぎりぎりまで働かせても違法でなくなってしまう」と批判し、重ねて見直しを求めました。
高橋氏は、航太さんの母・淳子さんの「人間の限界を試すような働き方で生産性をあげていくという考え方は間違っています」という言葉を紹介し、「上限規制はひと月単位や1年単位ではなく、1日、1週を大切に生きる基準にすべきだ」と求めました。
安倍晋三首相は、上限規制について「ぎりぎり実現可能な水準として労使が合意に達した内容」だと釈明しました。高橋氏は「過労死ラインに引っ張られて何が『働き方改革』か」と批判。長時間労働とともにパワーハラスメントが過労死・過労自死につながっているとして「時間の長さだけでは分からない過重労働の実態がある。法案を取り下げ、質の問題も含めた見直しを」と強調しました。