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2018年2月26日(月)

主張

核持ち込み密約

廃棄なしに非核三原則守れぬ

 米トランプ政権の核戦略指針である「核態勢見直し」(NPR、2日公表)は、核攻撃可能な戦闘機の北東アジアへの配備能力の保持や、水上艦や攻撃型潜水艦から発射する新型核巡航ミサイルの導入検討という、日本への核持ち込みの危険を強める重大な方針を示しました。安倍晋三政権は「日本の非核三原則(核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず)を米国は理解している」と繰り返し、危険がないかのように言います。しかし、日米間には日本への核持ち込みを認める密約があり、日本政府は廃棄の手続きを取っていません。今必要なのは、核密約の廃棄です。

トランプ政権が戦略転換

 日米核密約は、1960年の日米安保条約改定時に結ばれました。日本の基地使用などに関する事前協議制度について、対象になるのは日本への核兵器の地上配備だけで、核を積んだ米軍機や米軍艦の日本への立ち入りは対象にならないことを規定しています。核を搭載した米軍機の飛来や米軍艦の寄港、領空・領海通過などは、日本政府との事前協議なしで自由にできるという秘密取り決めです。

 日本政府が密約文書の存在を認めたのは民主党政権時代の2010年ですが、密約を廃棄する対米交渉は行わず、放置されました。理由は、「1991年に(ブッシュ政権が)水上艦船および攻撃型潜水艦を含む米海軍の艦船および航空機から戦術核兵器を撤去する」と表明し、「94年の(クリントン政権による)核態勢見直しの結果として、水上艦船および空母艦載機から戦術核兵器の搭載能力を撤去する」ことになったため、日本への核持ち込みは起こり得ないというものでした(10年3月10日、衆院外務委員会、岡田克也外相)。

 ところが、94年の「核態勢見直し」は、日本に頻繁に寄港する攻撃型潜水艦に必要な場合は核巡航ミサイル(核トマホーク)を搭載するとしており、当時の見解には大きな読み違いがありました。

 10年4月、オバマ政権が公表した「核態勢見直し」では、核トマホークの退役を決める一方、戦術核兵器の東アジアへの再配備を可能にするため、空軍は核爆弾を搭載できる核・非核両用任務の戦闘機(F16、将来的にはF35)を維持するとしました。攻撃型潜水艦の日本寄港による核持ち込みの危険は近い将来なくなる可能性があるものの、核攻撃能力を持つ戦闘機による空からの核持ち込みの恐れは引き続き残されました。

 トランプ政権の「核態勢見直し」は、▽核・非核両用任務の戦闘機を北東アジアなどに前方配備する能力を維持・強化する▽長期的には核トマホークに代わる最新の核弾頭付き海洋発射型巡航ミサイル(SLCM)を追求する―とし、これまでの方針を大転換しました。F35Aなどの戦闘機をはじめ水上艦、攻撃型潜水艦による日本への核持ち込みの危険は大きく高まることになります。

「非核日本」実現のために

 日本への核持ち込み問題をめぐり、安倍首相は、今回の「核態勢見直し」によって「前提は変わる」と認めています。一方で、核密約の廃棄に動く姿勢は全くみられません。これではいくら米国の「理解」を強調しても、「非核三原則」が守られる保証はありません。核密約を廃棄してこそ「非核の日本」を実現することができます。


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