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2018年2月26日(月)

北朝鮮問題 日本は圧力一辺倒改める時

関係国の駆け引き活発化

 25日の平昌五輪閉会式をにらみ、北朝鮮の核・ミサイル開発をめぐる関係国の駆け引きが激化しています。北朝鮮は五輪開会式に続き閉会式にも高官を派遣し、「南北融和」を演出。一方、トランプ米政権は、大規模な独自制裁を発表(23日)するなど圧力強化の動きと並行して、北朝鮮との「対話」の動きも見せています。日本政府は圧力一辺倒・北朝鮮の脅威をあおる姿勢を改める時にきています。(桑野白馬)

米国の対応に変化

 ソウルで10日、文在寅大統領と、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の妹、金与正・党第1副部長や、対外的に国家元首の役割を担う金永南・最高人民会議常任委員長ら高官代表団が会談。与正氏は、正恩氏の親書を渡し、文氏の訪朝を要請しました。

 早稲田大学の李鍾元教授は16日の日本記者クラブでの会見で、北朝鮮をめぐる情勢が「次の大きな局面転換にいくのでは」と指摘。北朝鮮内には弾道ミサイル開発継続派と外交派との対立が見られるものの、軍事・経済を同時に進める「並進路線」のロジック(論理)からすると、昨年11月末の「核武力」の完成宣言の次は「経済に専念する」とし、「そのためには対外関係を改善しないといけない」との見方を示しました。

 米国の対応にも変化の兆しが出ています。ペンス米副大統領が北朝鮮の独裁体制を非難する一方、米紙ワシントン・ポストのインタビュー(11日付)で、前提条件なしでの米朝対話を示唆すると、米国務省のナウアート報道官は記者会見(13日)で「予備的な協議」に言及しました。ペンス氏が与正氏と10日に会談する予定だったことも報じられました。(20日)

米朝の対話促せ

 日本政府は現時点で「圧力一辺倒」の姿勢を変えていません。同時に、河野太郎外相は17日、「『接触』を否定するものではない」として、米朝の「予備的協議」に理解を示しました。

 これについて外務省筋も「(北朝鮮に政策を変えさせるという)われわれの考えを直接伝えていくということは必要だという立場で(日米は)一致している」と強調。「働きかける行為自体は否定するものではない」と述べ、「対話のための対話は意味がない」という態度表明から“軌道修正”を図ろうとしている様子が見られます。

 北朝鮮情勢に詳しい専門家は、五輪後に関係各国で対話が進む可能性があるとし、「米国の態度が少しずつ変わってきて、日本も『ちょっとまずい』と思っている。置き去りにされないため歩調を合わせているのでは」との見解を示しました。

 東京大学の和田春樹名誉教授は、北朝鮮の韓国への接近を日米韓の連携を分断するものだとする見方について「世間では『韓国は北朝鮮にだまされている』という見方があるが、そうではない。お互いに必死に戦争を避けようとしている」と強調。「五輪を契機に米朝間で対話するよう促す国際的な流れがあったと見るのが自然だ。日本政府もこの方向に努力すべきだ」と述べました。

朝鮮半島をめぐる最近の主な動き

2018年 1月 1日 北朝鮮の金正恩労働党委員長が「新年の辞」で平昌冬季五輪に代表団派遣の用意があると表明

         4日 米韓が平昌五輪中に合同軍事演習を行わないことで合意

         9日 南北閣僚級会談実現 北朝鮮の選手団派遣に合意

        20日 スイス・ローザンヌでの4者会談で北朝鮮の五輪参加を正式決定

      2月 9日 平昌五輪が開幕し、南北が合同入場行進

        10日 韓国の文在寅大統領と、正恩氏の妹、金与正党第1副部長らがソウルで会談

        11日 (報道) ペンス米副大統領が米紙に「北朝鮮が対話を望むなら、米国は対話する」と前提条件なしの対話を示唆

        13日  正恩氏が韓国側の対応に謝意を示し、南北関係改善に向け具体的に提示

         米国のナウアート国務省報道官が「議論のための予備的な協議は持たなければならない」と発言

        20日 (報道) ペンス氏が与正氏と10日に会談予定だったことが明らかに

        25日 五輪閉会式


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