2018年2月27日(火)
論戦ハイライト
塩川議員 裁量労働制拡大を追及 衆院予算委
政策決定で労働者無視
捏造の原因は安倍首相
裁量労働制のデータ捏造(ねつぞう)の原因をつくったのは、安倍晋三首相のトップダウン姿勢だ―。日本共産党の塩川鉄也議員は26日の衆院予算委員会で、裁量制の拡大の結論ありきで政権に都合のよいデータで答弁をつくったのが「捏造問題の本質だ」と告発し、法案提出の断念を求めました。
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官邸主導でレール敷き
裁量制の拡大について、2015年2月の労政審(労働政策審議会)で労働者側委員が「長時間労働となるおそれが高まる」と意見し、議論のプロセスについて「閣議決定の枠組みに基づいて労政審で議論するというやり方がとられた」と批判していました。
極めて異常
塩川 労働者代表がいない場で、長時間労働が懸念される裁量労働制拡大の方針が決められるのは極めて異常なやり方だ。
首相 労政審において労使を交えた議論を経た。連合会長の要請も踏まえ、法案の修正を行う。
安倍首相は労働者の意見を聞くかのような答弁をしましたが、安倍政権は、雇用労働政策を決める際に労働者側の意見に耳を貸さなくてもよいという態度です。
厚労省内に設置された「働き方に関する政策決定プロセス有識者会議」は16年12月、「基本的課題については、必ずしも公労使同数の三者構成にとらわれない」「課題設定から法案成立までのトータルのスピードを速める」などとする報告をまとめています。
塩川氏は、裁量制拡大に至る政策決定の過程で労働者の意見が無視されていた実態を明らかにしました。
第2次安倍政権が発足翌月の13年1月に設置したのが、首相をトップとし閣僚・有識者からなる「産業競争力会議」(16年9月以降「未来投資会議」)と、有識者だけの規制改革会議(同「規制改革推進会議」)でした。いずれも労働者代表は一人もいません。
安倍首相は13年1月時点で「雇用」を規制改革の重点分野と決定。同2月の規制改革会議で企画業務型裁量労働制の対象の拡大、手続きの簡素化が掲げられました。これを受けて産業競争力会議がまとめた「日本再興戦略2013」は裁量制見直しの調査・検討を決め、「日本再興戦略改定2014」を閣議決定して裁量制拡大の法案提出を決めました。
塩川氏は、安倍首相が14年5月にロンドンで「規制を打ち破るため自らドリルになる。労働の制度は新しい働き方に合わせ見直す」と講演し、直後に裁量制の拡大を打ち出したとして「ドリルで穴を開けるなど断じて認められない」と強調。安倍首相自身のやり方をただしました。
結論ありき
塩川 官邸主導、安倍首相のトップダウンで、裁量労働制拡大のレールを敷いた。労政審で労働者の意見が顧みられなかったのは、拡大ありきの閣議決定を行ったからだ。
首相 確かに産業競争力会議で取りまとめたが、労働時間法制については労政審で検討するとしている。
塩川 裁量労働制の新たな枠組みを講ずると枠をはめたから、枠の中で労政審の答申をつくることにつながったではないか。労働者の懸念が首相の方針でないがしろにされたことが問われている。
塩川氏は、背景に13年の経団連の提言や、産業競争力会議で経済同友会や経団連の代表が裁量労働制の拡大を求めていたことを紹介。第2次安倍政権後、自民党への企業献金が大幅に増加していることを指摘し、「財界利益を優先して、労働者の命と健康をないがしろにすることは許されない」と安倍首相の姿勢を批判しました。
塩川 裁量労働制の拡大ありきだから、それに都合のよいデータで答弁をつくったのがデータ捏造問題の本質だ。捏造の原因をつくったのは、裁量労働制の拡大ありきの政策を推進してきた安倍首相自身だ。