2018年3月2日(金)
18年度予算案に対する藤野議員の反対討論
衆院本会議
日本共産党の藤野保史議員が2月28日の衆院本会議で行った2018年度予算案に対する反対討論(要旨)は次の通りです。
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「働き方改革」について、国民の命がかかった大問題であるにもかかわらず捏造(ねつぞう)データが次々と明らかになり、安倍総理が「裁量労働は一般労働より労働時間が短い」という答弁を撤回したことは重大です。法案の前提は根本から崩れており、提出そのものを断念すべきです。
また、森友疑惑では、1年前に存在しないと答弁した国有地売却の値引き交渉を示す文書が公開され、わが党が示した音声データによっても疑惑はいっそう深まりました。にもかかわらず、佐川宣寿国税庁長官、安倍昭恵氏らの証人喚問を与党が拒み続け真相解明に背を向けていることは言語道断であります。
審議は全く尽くされていません。野党が求めた裁量労働制の再調査、「働き方改革」法案の断念、証人喚問、徹底した審議などの要求をことごとく拒否し、「最低70時間の野党質問時間」に達しないまま採決を強行したことに強く抗議します。
予算案に反対する理由の第一は、本予算案が、格差と貧困を広げてきたアベノミクスに固執し、暮らしと経済を痛めつけるものになっている点です。
アベノミクスの5年間で、大企業や富裕層の利益が大きく増える一方で、実質賃金は年額16万円も低下し、家計消費は22万円も落ち込んでいます。いま必要なのは、この「格差と貧困」を是正することです。
ところが、本予算案は、生活保護費の最大5%、平均1・8%の削減をはじめとした社会保障関係費の「自然増」分、1300億円を削減しています。安倍政権下の6年間で社会保障関係費の自然増削減は1・6兆円に上り、各分野で給付減と負担増を招いています。
他方、法人税や研究開発減税等の大企業優遇税制、富裕層の金融所得への優遇税制などは温存しており、格差の是正には程遠い姿勢です。来年10月に消費税10%増税を強行すれば、さらに格差と貧困は広がります。富裕層のための政治から、99%の国民の暮らしを応援する経済政策への抜本的転換を強く求めます。
反対理由の第二は、安保法制のもとで、際限のない軍拡路線に踏み込んでいる点です。
軍事費は過去最大の5兆1911億円となりました。第2次安倍政権発足以来増額を続けており、4年連続で過去最高を更新しています。
イージス・アショアの関連経費を初めて盛り込み、オスプレイやF35Aステルス戦闘機も増強しています。これら有償軍事援助(FMS)による米国からの兵器調達は4102億円、次年度以降の後年度負担総額は年間予算に匹敵する5兆768億円に上ります。
とりわけ、長距離巡航ミサイルの導入を決定し、護衛艦「いずも」の空母化まで狙っていることは、政府自身が憲法上認められないとしてきた敵基地攻撃能力の保有にふみだすものにほかなりません。
相次ぐ米軍機事故では、米軍の意向を最優先し、子どもたちと住民の命、生業(なりわい)をないがしろにする日米安保・地位協定の屈辱的な実態が明らかになりました。日米地位協定の抜本改正と、沖縄県民の民意をふみにじる辺野古新基地建設の中止、普天間基地の即時閉鎖・撤去を強く求めるものです。
また、審議の中で、アメリカの新核戦略(NPR)を「高く評価する」安倍政権の姿勢が新たな核持ち込みの危険を現実のものとしていることが浮き彫りになりました。
さらに、安倍総理が憲法9条改憲に関する答弁を繰り返したことも絶対に容認できません。
反対理由の第三は、新規大型開発事業を優先し、原発再稼働や破綻した核燃料サイクルを推進するものとなっている点です。
高速道路に1・5兆円もの財投資金を14年ぶりに投入する等、三大都市圏環状道路、国際コンテナ戦略港湾などの新規大型開発事業を優先し、安全面と環境面で問題が指摘されているリニア中央新幹線の建設を推し進めるやり方は、到底認められません。
原発の再稼働、核燃料サイクル、原発輸出の推進をやめ、原発即時ゼロの政治決断を下すべきであります。
日本共産党は、国民の暮らしを守り、日本経済のゆがみをただしてその発展を進め、「戦争の危険」から国民の安全を守るために、本予算の抜本的な組み替えが必要だと考えます。
野党共同提案の組み替え動議は、部分的ではありますが、巨額の軍事費、米国からのFMSなどにメスを入れ、格差と貧困の是正や国民生活に振り向けるものです。6野党が一致して安倍政権の経済政策の転換を求めた点に意義があり、わが党も共同提案したものであることを表明し、討論を終わります。