2018年4月18日(水)
首相「約8割が裁量労働制満足」言うが
自由記述に不満多数
調査元 JILPTが公表
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労働政策研究・研修機構(JILPT)は16日、「裁量労働制等の労働時間制度に関する調査」の自由記述項目2次集計結果を公表しました。調査は、企画業務型の裁量労働制が適用される労働者を対象にしたアンケート。「満足」「やや満足」「やや不満」「不満」のうち、「満足」「やや満足」が76・4%となっていましたが、自由記述では、満足と答えた人でも、「労働時間が長くなる」「業務量が課題になる」など裁量労働制に対する不満が多数寄せられていました。
安倍晋三首相は、3月2日の参院予算委員会で日本共産党の小池晃書記局長の質問に対し、同調査結果にふれて、企画業務型が適用される「約8割弱の方々はやや満足も含めれば満足している」と答弁していました。
しかし、「満足」「やや満足」と回答した人の中にも、自由記述では裁量労働制に対する不満が示されていることが今回の公表で明らかになりました。
「裁量は名ばかり。朝9時出勤が固定され、夜も20時、21時まで勤務は常」「目標、ノルマ、会社からの期待値もあり、オーバーワークになっていることは否定できない」「残業が多い人には向かない」「対象者を広げるのは単なる労働強化だけで、個人が守れない」などの声が寄せられていました。
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対象拡大望まず7割
労働政策研究・研修機構(JILPT)の「裁量労働制等の労働時間制度に関する調査」は、労働時間法制を議論した労働政策審議会労働条件分科会(2014年4月3日)に提出されたものですが、このときの分科会には、厚労省の編集によって16日に公表された自由記述は示されませんでした。
同調査では、裁量労働制の変更についての質問で、企画業務型を導入する事業場の68・6%が「今のままでよい」と回答したのに対して、「変更すべき」は29・3%。企画業務型を適用される労働者では、「今のままでよい」75・1%に対して、「変更すべき」は21・1%。対象業務の範囲については、「現行制度のままでよい」の67・1%が、「狭い」の7・2%を大幅に上回っています。
同アンケートの回収率はもともと18・5%にすぎず、どの労働者に聞くかも事業者任せで、満足度が高めにでる調査となっていました。そうした調査でも裁量労働制への不満が噴出していることが浮き彫りとなっています。