2018年5月10日(木)
イラン核合意離脱 米国内外から厳しい批判
深刻な誤り ■ 国を孤立させる
オバマ前大統領ら反発
世論調査で「支持」わずか29%
トランプ米政権によるイラン核合意離脱(8日)は、国際的な合意を一方的に踏みにじる行為として、米国内外で厳しい批判、深刻な懸念を巻き起こしています。
【ワシントン=遠藤誠二】トランプ米大統領がイラン核合意からの離脱を発表したことを受けて、同合意を成立させたオバマ前大統領や民主党は一斉に反発しました。世論調査でも、国民の多数は合意離脱を批判的に見ています。
オバマ大統領は8日、「今日の発表は間違っている。深刻な誤りだ」と批判。ケリー元国務長官は「われわれの安全保障を弱くし、欧州から米国を孤立させ、イスラエルを大きな危険にさらし、イランの強硬派に力を与えるものだ」と断じました。
民主党のペロシ下院院内総務は、「今日は、米国の地球規模でのリーダーシップにとって悲しい日となった。トランプ政権による危険で衝動的な行為が、真の世界的なリーダーシップにとって代わってはならない」と酷評しました。
同党のダービン上院議員は、「この合意を破ることは、われわれの同盟国、イスラエルへの脅威となり、中東全域の不安定化を招きかねないイランによる核開発再開という危険性を増長させる」と主張しました。
トランプ大統領は、予定されている米朝首脳会談に向け、イラン核合意で厳しい姿勢を提示した形ですが、オバマ前大統領は「イラン合意は外交が成功に導くモデルだった。まさに米国が北朝鮮と取り組まなければならない査察と検証制度だ」と主張。マレー上院議員(民主)は、「トランプ大統領による無謀な行為は、北朝鮮との外交的な合意を果たす米国の能力を損なわせる」と指摘しました。
8日に発表されたロイター通信と世論調査会社イプソスの共同世論調査によると、核合意離脱を支持はわずか29%で、残留支持は42%。共和党支持者でも離脱支持は44%でした。
核合意自体についても支持は54%で「反対」の27%を大きく上回っています。