2018年5月16日(水)
「働き方」データ2割虚偽
「残業代ゼロ」根拠破たん
6野党会派 審議会に差し戻し要求
厚生労働省は15日、労働時間の調査結果に大量の虚偽データが含まれていた問題で、全1万1575事業所のうち2割強に当たる2492事業所のデータを削除したと発表しました。調査は、「残業代ゼロ制度」(高度プロフェッショナル制度)を柱とする「働き方改革」一括法案作成の基礎となっており、大量のデータ撤回で信ぴょう性が完全に失われました。6野党会派の国対委員長は同日会談し、労働政策審議会に法案を差し戻すよう求めることで一致しました。
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問題とされたのは、「2013年度労働時間等総合実態調査」。同省は、労働基準監督署が調査した原票と集計データを照合していました。その結果、1日の労働時間が24時間を超えるなど966事業所のデータ削除。すでに削除を決めていた裁量労働制の1526事業所データとともに撤回しました。
安倍晋三首相は当初、調査をもとに「裁量制で働く人の方が一般労働者よりも労働時間が短いデータもある」と答弁し、裁量労働制の拡大を押し付けようとしました。しかし、データねつ造や虚偽データが発覚。法案から裁量労働制拡大を削除する事態となりました。
今回、2492件のデータ削除後の再集計で、平均的な人の年間残業時間が78時間30分から65時間51分に激減。当初の調査は、一般労働者の労働時間をより長く見せかけていたことが改めて浮き彫りとなりました。
加藤勝信厚労相は同日、調査自体は適正だと居直り、法案撤回は拒否する考えを示しました。しかし、最長の労働時間を集計して平均的な労働時間とするなど、データ自体がねつ造されたものです。法案の基礎となる調査の信頼性が失われたもとで、法案は白紙撤回する以外にないことが明りょうになっています。