2018年5月16日(水)
TPP11 批准するな
「食と農に大打撃」
市民と野党 結束して阻止へ 緊急集会と抗議
政府・与党が今週中にも米国を除く11カ国による環太平洋連携協定(TPP11)の批准案・関連法案の強行を狙うなか、幅広い市民団体でつくる「TPPプラスを許さない!全国共同行動」は15日、緊急院内集会と国会議員会館前での抗議を行いました。多くの市民や野党国会議員が駆け付け「市民と野党が一致結束して阻止しよう」と声をあげました。
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院内集会には、立ち見が出るほどの人たちが駆けつけました。
全国共同行動の山田正彦弁護士は「私たちが声をあげることが阻止につながる。最後まで頑張りぬこう」と呼びかけました。
全国共同行動のメンバーが、TPP11の条文・関連文書や政府からの回答などにもとづいて危険性について報告。輸入農産物の急増によって日本農業が深刻な打撃を受けること、ISDS(投資家対国家紛争解決)条項が残り、経済主権を侵害することなどを告発しました。
日本共産党、立憲民主党、国民民主党、無所属の議員があいさつし、「野党が一致結束してたたかう」と訴えました。
日本共産党からは、穀田恵二国対委員長、紙智子参院議員が参加しました。穀田氏は「国対委員長会議で野党が一体でたたかうことを確認した」と表明。紙氏は「みなさんの運動とあいまってたたかいぬきたい」と表明しました。
衆院第2議員会館前で行われた抗議で参加者は、「子どものために食の安全守ろう」などとコールしました。
東京・築地市場などの労働者でつくる東京中央市場労組の中澤誠委員長は、卸売市場法改定問題について「TPPは、持てる者が食料も好き勝手にしていいという協定だ。卸売市場はみんなが一緒に生きていくためのインフラです。TPP反対の運動と力を合わせて一緒にたたかっていきたい」と語りました。
子どもを連れた母親の姿もありました。
相模原市の女性(26)は、インターネットで行動を知り、夫と2歳の娘を連れて参加。「私は政治に詳しいわけではありません。でも、子どもの未来のため、TPP11は許してはいけないと思っています」と話します。「なんでも強引に決められていく今の政治に、不安を感じています。それを変えるために声をあげていきたい」
参加者の発言
米国枠そのまま他国に 日本農業振興こそ
この日の行動では、命と暮らしを守るためTPP11の慎重審議、廃案を求める訴えが続きました。
農民運動全国連合会(農民連)の吉川利明事務局長は、TPP11がアメリカを含む元のTPP以上に農業に打撃となることを指摘しました。「乳製品など輸入が増える低関税輸入枠は、アメリカが離脱した分をそのまま残した。カナダやオーストラリアなどがその分を輸出する。アメリカは日米2国間交渉という“別枠”で輸出を増やす。安倍内閣の対策というのは、輸入が増えても国内生産量は変わらない、というでたらめぶりだ」
東都生活協同組合の野地浩和事業企画室長も、「産直を中心としているが、農業の生産基盤は確実に弱まっている。TPPは国内農業の息の根をとめてしまう恐れがある。世界的には食料不足が深刻になる。日本農業の振興こそすべきだ。また、生協は助け合いの共済をしているが、それも多国籍企業のためのTPPで打撃となる心配がある」と話しました。