2018年5月20日(日)
TPP11承認案
田村貴議員の反対討論
衆院本会議
日本共産党の田村貴昭議員が18日の衆院本会議で行った米国を除く環太平洋連携協定(TPP)加盟11カ国による新協定「TPP11」の承認案についての反対討論は次の通りです。
何よりまず、今国会における審議のあり方に厳しく抗議します。
外務委員会における審議時間は、わずか6時間に満たず、食の安全、国民のいのちとくらしを脅かす危険、投資家の利益を優先させるISDS(投資家対国家紛争解決)条項、国内の農林水産業や雇用に対する影響など、本協定がかかえる重大な問題についていまだ審議は尽くされていません。内閣委員会で審議中の関連法案と一体に、徹底審議すべきであり、採決するなど論外です。
もともとTPPは、2年前の国会で、圧倒的国民の厳しい批判にさらされ、国会審議のさなかにアメリカが離脱したにもかかわらず、与党が採決を強行したものです。その後日本政府は米国に対し、さかんにTPPへの復帰を働きかけてきました。TPPをまるごと組み込むとしているTPP11は、国会決議に真っ向から反するものであり、断じて認めることはできません。
国会決議は、コメ、麦、牛肉・豚肉、乳製品、砂糖の重要5項目を関税撤廃の交渉から「除外する」ことを明確にしてきました。にもかかわらずTPPでは、重要5項目のうち3割の品目で関税を撤廃、牛肉・豚肉では7割の品目で関税が撤廃されます。国会決議違反のこうした内容に対して、TPP11では凍結要求することさえ一切おこなわれていないのであります。
そもそもTPPは、国境を越えてもうけを追求する多国籍企業の活動を後押しするものです。関税を撤廃し、食品の安全基準を低めるなどの規制緩和をおこなうという本質はそのまま維持されているのであります。米国がTPPに復帰しなくとも、米国や日本の多国籍企業による、もうけ最優先の身勝手な活動をさらに後押しするものにほかなりません。
だからこそ4月の日米首脳会談で、日米の新たな経済協議の枠組みをつくることで合意したことは極めて重大なのであります。
TPP交渉で譲歩した線をスタートとして、日米FTA(自由貿易協定)交渉で際限のない譲歩を迫られ、「米国第一」を掲げるトランプ政権の身勝手な対日要求の「受け皿」とされる危険は明らかであります。
米側はUSTR(米通商代表部)の「外国貿易障壁報告書」を基に強力な取引を進め、牛肉やコメ、乳製品を含む農産物など、TPP以上の要求を突き付けてくることは明白であり、断じて容認できません。
いま求められているのは、各国の食料主権、経済主権を尊重した、平等・互恵の経済関係を発展させる道に進むことだということを強く主張し、反対討論を終わります。