しんぶん赤旗

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日本共産党

2018年5月25日(金)

採決許されない「働き方」法案

危険性浮き彫りに

 政府・与党は、「残業代ゼロ制度」(高度プロフェッショナル制度)を柱とする「働き方改革」一括法案について、25日にも再び採決強行を狙っています。しかし、審議をすればするほど危険性や欠陥が浮き彫りになっており、採決など許されないことは明りょうです。(田代正則)


データ削除でやり直し必要

 法案の「出発点」となった労働時間データで、2割ものデータが虚偽だとして削除されました。

 再集計したところ、一般労働者で年間残業1000時間超の三六協定を結んだ事業所で、その通り残業させた事業場は、旧データの3・9%から48・5%に激増しました。

 安倍晋三首相は、日本共産党の志位和夫委員長に「実際はこんなに(三六協定の上限まで)残業していない」と答弁(2015年2月)していましたが、覆りました。高プロ対象者を検討する上で重要なデータとなる裁量労働制の実態調査も、データねつ造の原因究明もこれからです。法案は撤回し労働政策審議会に差し戻すしかありません。

遺族の声無視論拠も破たん

 長時間労働に歯止めのない高プロの危険性が明らかとなり、論拠も破たんしました。

 加藤勝信厚労相は、残業100時間相当で医師面接があると言いますが、そのまま働かせ200時間になってもよいと認めました。

 「働くもののいのちと健康を守る全国センター」事務局長の岩橋祐治全労連副議長は、「産業医では止められない。監督官のチェックが高プロではできなくなる」と参考人質疑で指摘しました。

 安倍首相は「時間ではなく成果で評価されたい人もいる」と言いますが、参考人質疑で全労連も連合も過労死家族の会も反対。経団連は賛成ですが、賛成企業は28%と少数(共同調査)。加藤氏が「要望を聞いた」という労働者は、たった12人でした。

 共産党の高橋千鶴子議員の質問で、高プロは成果をあげても報酬が増えるとは書いておらず、業務量はあらかじめ決められており、減らせないことが明らかになりました。

 安倍首相は過労死遺族との面会も拒否しており、高プロに反対する遺族らの声を無視したまま採決に突き進むなど許されません。

上限に抜け穴厚労相認める

 残業の上限規制は単月100時間、平均80時間という「過労死ライン」を容認していますが、月をはさめば30日で150時間以上の残業も可能など抜け穴があることを、加藤氏が認めました。

 首相が強調する「同一労働同一賃金」は法案に言葉もなく、「格差是正」といっても現行と変わらないことも同省は認めました。

 パートで正社員と同等待遇になるのはわずか1・5%。有期雇用は無期雇用に転換した労働者と比較するので正社員との格差は放置されることも明らかとなり、欠陥法案というしかありません。

 実効性ある法案にするには、撤回・徹底審議こそ不可欠です。


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