2018年5月27日(日)
南スーダン撤収1年 隊員「自殺」も警告
派遣隊「報告」明記 陸自宿営地が標的に
2016年7月8~11日にかけて南スーダンの首都ジュバで政府軍・反政府勢力の激しい戦闘が発生した際、政府軍が陸上自衛隊南スーダンPKO(国連平和維持活動)派兵部隊が宿営する国連施設への攻撃を図っていた可能性があったことが、本紙が情報公開請求で入手した「南スーダン派遣施設隊(第10次要員)成果報告」(16年12月11日)から判明しました。
自衛隊は退避コンテナに避難していましたが、最悪の場合、宿営地を防護するために政府軍との交戦すらありえました。南スーダンからの撤収完了から27日で1年を迎える中、派兵のさらなる検証が不可欠です。
「成果報告」によれば、自衛隊などが宿営する「UNトンピン地区」近傍で戦車や迫撃砲の射撃が発生し、自衛隊宿営地にも流れ弾が飛来。ルワンダ隊の敷地には迫撃砲3発が着弾し、5人が負傷しました。
また、政府軍兵士3人がUNトンピン地区に避難した元反政府勢力の避難民を狙って地区内に侵入する事件が発生。同地区に隣接するビルから政府軍が避難民を監視している様子も確認され、避難民の存在による「脅威の高まりは否定できない状態」でした。
加えて、「政府軍が、(反政府勢力)分子の狩り出しのために攻撃を仕掛けてくる公算は完全に否定しきれないとの情報提供があった」としています。
「成果報告」は、16年7月の戦闘以後の隊員のメンタルヘルスに関して、「入眠障害・中途覚醒の症状が多くあった」と指摘。「音への恐怖心」も多かったとしています。「帰国後の回復が順調に行われなければ、メンタル不調者(抑うつ傾向から自殺)の発生も予想される」として、自殺者発生の危険を警告しています。
南スーダンから帰国した現職自衛官のうち、これまでに2人の自殺が判明しています。