2018年6月1日(金)
働き方改悪 参院で廃案必ず
法案は欠陥・問題点だらけ
衆院本会議で5月31日、自民、公明、維新の賛成多数で採決が強行された「働き方改革」一括法案。しかし、法案は欠陥・問題点だらけで、参院で廃案にするしかありません。
立法事実が崩壊
法案づくりの「出発点」となった労働時間データ(2013年労働時間等総合実態調査)の改ざん・ねつ造が発覚し、2割以上ものデータを削除してもなお次々とデータの誤りが発覚しています。
再集計したデータでも、「三六協定」で残業の上限を年1000時間と定めた事業所で実際に1000時間を超えて働かせている事業所の割合が、旧データの3・9%から48・5%に激増しました。
“上限は長くても実際はそんなに働いていない”とする政府の説明を覆す数値です。
立法事実が崩壊しており、法案は撤回して、正しい実態調査に基づいて労働政策審議会の議論からやり直す以外にありません。
際限ない長時間労働
年収1075万円以上の「高度専門職」について、労働時間、休憩、休日、割増賃金などの時間規制を撤廃する「高度プロフェッショナル制度」(残業代ゼロ制度)を導入。使用者は労働時間を管理せず、残業代も払いません。際限のない長時間労働を強いられ、過労死しても自己責任とされる欠陥法案です。
安倍首相は「自律的に働ける」「成果で評価される」と美化しますが、労働者に裁量を与える規定も、成果主義賃金を義務付ける規定もなく、論拠は破たんしています。
年収基準も経団連は400万円を主張しており、引き下げは必至です。
過労死招く残業容認
青天井となっている残業時間に上限を設けるものの、「月100時間未満」「2~6カ月平均で月80時間」まで容認しています。
過労死ラインの残業を容認・合法化するもので、これより低い労使協定を結んでいる企業が逆に引き上げる恐れさえ出ています。
しかも、研究開発業務は初めから上限は適用除外。建設業や自動車運転、医師は5年間先送りするなど「抜け穴」だらけで、長時間労働を温存します。
非正規格差を固定化
安倍首相は「同一労働同一賃金」と繰り返しましたが、法案にその言葉はありません。
正規と非正規雇用の格差について、配置転換など人材活用の仕組みや、労働者の能力・成果など企業の恣意(しい)的判断で差別を容認・拡大します。
かろうじて「均等待遇」の対象となるパート労働者もわずか1・5%にとどまり、「同一労働格差賃金」と指摘されています。
企業は格差について労働者に説明するだけでよく、裁判になっても立証責任は労働者に負わせたままです。
無権利労働広げる
雇用対策法を労働施策総合推進法に改定。「生産性の向上」を目的に加え、「多様な就業形態の普及」を国の施策に据えます。
「生産性向上」の名で労働強化を進めるとともに、非正規労働者の拡大や、「請負・委託」など労働者保護が適用されない無権利の「非雇用型」の働き方を拡大するものです。
憲法が保障する勤労権に基づき完全雇用をめざす雇用対策法が、低賃金・不安定な働き方を広げる「リストラ促進法」に変質することになります。