2018年6月15日(金)
「働き方」改悪 山添氏が追及 参院厚労委
国、高プロ要望示せず
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日本共産党の山添拓議員は14日の参院厚労委員会で、「働き方改革」一括法案で狙う「残業代ゼロ制度」(高度プロフェッショナル制度)をめぐり「労働者のニーズがある」とした加藤勝信厚労相の国会答弁を追及しました。
山越敬一労働基準局長はヒアリング調査は「通常の業務の一環で行った」もので高プロニーズの調査とは答えられませんでした。加藤厚労相は「個人的にもいろいろ聞いたが、法案のプロセスで労働政策審議会に出したわけではない」として立法事実と無関係だと認めました。
山添氏が「労働時間規制を外し、残業代ゼロを望む声がひとつでもあったか」とただしたのに対して、加藤厚労相は「抽象的な形でご意見いただいた」と答弁。山添氏は「アリバイ的なヒアリングによるニーズのねつ造だが、高プロとの結びつきすらない」と批判しました。
山添氏は、ヒアリングした金融アナリスト・コンサルタント・研究開発職の労働実態を調査したか質問。山越局長は「実態調査をしていない」と答え、ずさんな実態が浮き彫りになりました。
さらに山添氏は、労働者がミーティング時間を指定されると高プロ要件を満たさないと加藤厚労相が日本共産党の吉良よし子議員へ答弁している(6月5日)ことの確認を求めました。加藤厚労相は「“会議がありますよ”というだけなど、裁量を奪うような指示か個々に判断される」などと、企業が時間拘束できる抜け穴づくりのごまかしの答弁を行いました。
山添氏は「それで“高度”な仕事が回ると思うのか。過労死を促進する法案は断じて認められない」と廃案を求めました。
「実効ある格差是正を」
山添議員はさらに、実効性のある同一労働同一賃金の実現とともに、弱い立場に置かれた非正規労働者に人間らしい生活を保障する政治へと転換するよう求めました。
山添氏は、非正規という不安定な雇用形態が不当な待遇格差を生む根本要因となっていることをあげ、非正規の拡大を野放しにする政府の姿勢を批判。正社員と非正規の格差是正が争われた具体的な裁判事例をあげて、実効ある待遇改善をはかるよう求めました。
地下鉄売店業務にあたる契約社員と正社員の待遇格差が争点となったメトロコマース事件では、店舗業務以外の業務にも従事する正社員全体と比較して格差を認める不当判決が出されました。山添氏は、裁判では使用者の主観的な意図や目的の違いまで判断要素に加えられたこともあげ、「不合理性の判断は、客観的・具体的な実態に即して行われるべきだ」とただしました。
加藤勝信厚労相は「就業規則だけでなく、職務内容や配置変更の実態をもとに判断する」と答弁。山添氏は、違法な待遇格差があった場合、無効とするだけでなく、あるべき労働条件を補充する「補充的効力」を認めるよう求めましたが、加藤厚労相は「法律で規定することは慎重な検討が必要だ」としか答えませんでした。
山添氏は「それでは実効性がない」と批判。低賃金で働かされる非正規労働者の実態も紹介し、「格差是正と同時に、最低賃金の引き上げなど非正規の労働条件を底上げする必要がある」と強調しました。