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2018年6月18日(月)

残業代ゼロ ごまかしの「年収要件」

「平均の3倍」を低く設定

 「残業代ゼロ制度」(高度プロフェッショナル制度)が適用される「年収要件」は、パート労働者も合算して低くするなどごまかしや抜け穴が次々と発覚しています。

 年収要件は法案で、「年間平均給与額の3倍を相当程度上回る水準」を省令で定めるとし、安倍晋三首相は「1075万円以上」(4月27日、衆院本会議)と述べています。1075万円は、有期雇用契約の対象となる高度専門職の給与要件にならったものです。

 この「平均給与額」は、パート労働者の給与を含めており、フルタイム労働者より相当低くなっています。

 年収要件の算定には、厚生労働省「毎月勤労統計調査」でパートの給与を含めた額が使われています。2018年4月分速報は26万7346円。12カ月分の3倍は962万円となり、高プロ要件の1075万円はクリアしています。

 しかし、フルタイム労働者だけでみれば、月収34万659円で年収の3倍は1226万円となり、高プロ要件の1075万円では低すぎることになります。

 しかも、山越敬一・労働基準局長は、1075万円に通勤手当が「入る」と答弁(14日、参院厚労委)しており、実質的な年収要件はさらに下がります。

 日本共産党の吉良よし子参院議員の質問で、月額20万円程度にして残り800万円程度を最後にまとめて支払う方法でも合法だと分かりました(5日)。毎勤統計のパート合算の月額よりも低くてもよくなります。

 そもそも年収要件について経団連は400万円を主張しており、いったん導入されれば労働者派遣法のように対象が拡大され、年収要件が引き下げられていくのは必至です。ごまかしと抜け穴だらけの欠陥法案は、廃案にするしかありません。


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