2018年6月27日(水)
「働き方」法案採決阻止
参院委 野党が厚労相問責案提出
TPP11法案も採決見送り
過労死を促進する「働き方改革」一括法案をめぐるたたかいは26日、参院厚生労働委員会での同日中の採決を執ように求める与党側に、野党側が安倍晋三首相出席の質疑や理事会などで断固反対や徹底審議を主張。参院の日本共産党、国民民主党、立憲民主党、希望の会(自由・社民)、沖縄の風は共同で、加藤勝信厚労相の問責決議案を提出し、同日の採決を阻止しました。決議案は27日の参院本会議で採決される見通しです。
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倉林議員が廃案求める
過労死遺族ら多数の傍聴人が詰めかけ審議を見守る中で始まった厚労委員会。日本共産党の倉林明子議員は「過労死遺族に会って説明もできないような法案は撤回しかない」として、安倍首相に長時間労働とただ働きを強いる法案の廃案を求めました。
倉林氏は、政府が閣議決定した「過労死防止大綱」では「過労死をゼロ」にすることを目的にしていると指摘。ところが、同法案の柱である「残業代ゼロ制度」(高度プロフェッショナル制度)は、労働時間規制を完全に外し、残業手当もないとして、「過労死防止の観点からは明らかな逆行だ」と批判しました。
加藤厚労相は「(法案で)健康確保措置をとる」などと弁明に終始。安倍首相は「高プロでも長時間労働を防止し、健康を確保することは重要だ」としか答えませんでした。
倉林氏は、現行法制のもとでも、法逃れの「ただ働き」が横行していることをあげ、「規制緩和すればさらに過労死を促進する」と指摘。大手広告代理店「電通」社員の高橋まつりさんが過労自死した事件をあげ、「まつりさんのような働き方が違法ではなくなるのが高プロだ」と述べ、法案の撤回を迫りました。
質疑後に、与党理事が野党理事に採決を提案。同時に5野党・会派から加藤厚労相の問責決議案が参院に提出されたことを受け、委員会は散会となりました。問責理由として、立法事実が希薄である上、過労死が増えるという野党の指摘に加藤厚労相が不誠実な対応を続けたことなどを挙げています。
一方、米国を除く環太平洋連携協定(TPP)参加11カ国の新協定「TPP11」の関連法案について、自民党は同日の参院内閣委員会での採決を求めましたが、日本共産党など野党側が徹底審議を要求するなかで見送られました。
同委の質疑で日本共産党の田村智子議員は「関税の原則撤廃なのに、デメリットの説明を受けたことはない。立ち止まるべきだ」と要求。安倍首相は「影響があり不安を感じている方々がいるのは認識している。対策を打っていく」とあくまで推進する姿勢を崩しませんでした。次回の委員会は28日に設定され、引き続き採決が狙われています。