2018年6月29日(金)
主張
「働き方」採決強行
命奪う法案 数の力による暴挙
数の力にものをいわせた暴挙という他ありません。自民・公明などが「働き方改革」一括法案の採決を参院厚生労働委員会で強行しました。過労死を促進する法案の危険極まる中身が明らかになり、政府のいう法案の必要性の根拠も総崩れする中、追い詰められた安倍晋三政権が力ずくの手段にでたものです。働く者の健康を脅かし命まで奪う法案を数を頼りに押し通すことに大義はありません。「働かせ方大改悪案は廃案を」の声を広げ、悪法強行を重ねる安倍政権をさらに包囲し、追い込む世論と運動を強めることが急務です。
過労死家族の声を無視し
全国過労死を考える家族の会をはじめ多くの人が「採決を許さない」と傍聴席に詰めかける中、野党などの抗議を無視し審議を打ち切り、採決に踏み切る―。乱暴なやり方は、労働者や国民の不安や疑問を顧みようとしない安倍政権と与党の姿勢を象徴しています。
法案には働く者の命と健康を危険にさらす重大な中身が数多くありますが、その最たるものは、「残業代ゼロ制度」(高度プロフェッショナル制度)を初めて導入しようとしていることです。同制度は、労働時間規制を全面的に適用除外にし、「24時間働かせ放題」にすることを可能にする仕組みです。
週休2日にあたる年間104日の休みを与えれば、24時間労働を48日間連続させても、それを規制できません。安倍首相は「働き方を自ら選択できる」と繰り返しましたが、労働者が仕事量や労働時間を自らの裁量で決められる規定はありません。いまでも過労死が後を絶たないのに、こんな制度が導入されれば、命を削って働かされ続ける事態が続発することは、火をみるよりも明らかです。
政府の「ニーズがある」との主張も、ニーズ調査のヒアリングは12人しか行わないなどアリバイ作りのためのずさんなものだったことが判明し根拠は崩れています。
だいたい「働き方」法案は、国会提出前の時点から、政府に都合のいいデータをねつ造していたことが大問題になり、裁量労働制の拡大の部分を削除して、国会に出されたものです。国会審議に入ってからもデータねつ造や異常値が相次いで発覚し、法案の前提が完全に破綻しています。野村不動産で違法な裁量労働制の適用によって社員が過労自殺した問題をめぐっても安倍政権は、過労自殺の事実を隠ぺいしようとして厳しい批判を浴びました。
国民の命にかかわる法案をめぐってねつ造と隠ぺいを繰り返し、そのことに反省さえない安倍政権には、そもそも「働き方」法案を持ち出す資格はありません。
安倍政権打倒の声広げ
過労死水準まで容認する「残業時間の上限規制」の重大性もますますあらわです。「同一労働同一賃金」も名ばかりの実態が明らかになっています。多岐にわたる問題の審議は全く尽くされていません。労働法制の基本にかかわる8本の法律を「一括法案」で国会に出し、一気に押し通そうというやり方自体が間違っています。
安倍政権は、米国を除く11カ国による環太平洋連携協定(TPP)関連法案の採決も参院内閣委員会で強行しました。「森友」「加計」問題の解明に背を向け、悪法を次々強行する安倍内閣を総辞職に追い込むたたかいが重要です。