2018年7月2日(月)
厚労省 25年度の推計
“介護職 大幅に不足”
厚労省は、団塊の世代が75歳を超える2025年度末までに介護職員が約245万人必要になるものの、33万人余不足するおそれがあるとの推計を公表しました。安倍政権は、社会保障抑制路線のもと、規制緩和で無資格者や外国人労働者を登用するなど“安上がりな介護人材”をかき集めようとしており、このままでは人材不足は解消しないまま介護の質が低下しかねない状況です。国や自治体の人材確保策の抜本的な見直しと強化が求められています。
推計は、各都道府県の第7期介護保険事業計画(2018~20年度)の介護サービス見込み量などに基づいて行われました。
それによると、25年度の介護職員の需要見込み数は約245万人で、供給できる見込み数は約211万人でした。需要数に対する供給数の割合(充足率)は、全国平均で86・2%となりました。
充足率を都道府県別にみると、福島県と千葉県が74・1%で最も低く、福島県では約1万人、千葉県では約2万8千人不足する見込み。次いで京都府、沖縄県が8割を切る状況です。最も高い山梨県でも96・6%と、充足率が100%を超える都道府県はありませんでした。
東京都と大阪府では、充足率がともに全国平均を下回り、不足数は3万4000人を超え、介護人材の不足が加速すると見込まれています。
介護現場の深刻な人材不足を解決するためには、介護職員の労働条件の抜本的な改善と育成・確保の強化が不可欠です。
安倍政権は昨年度、職員の処遇改善策として介護職員の賃金を約1万円程度引き上げる報酬加算を新設。これまでの人材確保対策と合わせて「月額5・7万円相当の改善」をしてきたと誇っていますが、その“実績”の中身は、定期昇給や手当などの改善にとどまり、介護職員全体の賃金水準の改善につながる基本給の引き上げなど賃金体系改善の効果は上がっていません。ホームヘルパーや福祉施設介護員など17年の介護職員の平均給与月額は27・4万円と全産業平均の40・9万円と比べても13・5万円も低いままです。
推計がはじいた介護職員245万人の需要数を満たすためには、16年度の約190万人から約55万人増やす必要があります。しかし、政府が示している対策は、来年10月に消費税を10%へ引き上げることと引き換えに実行するとしている8万円相当の処遇改善策や、無資格者のボランティアへのサービス移行、外国人労働者への条件緩和などで、介護の質の低下をまねくおそれがあるものです。
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