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2018年7月31日(火)

豊洲、追加工事で「安全」

専門家会議、都の対策追認

ベンゼン過去最高170倍

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(写真)記者会見する専門家会議の平田座長(左)ら=30日、東京都江東区

 東京都が築地市場(中央区)の移転先とする豊洲新市場(江東区、東京ガス工場跡地)の土壌汚染対策を提言してきた専門家会議の平田健正座長は30日、同市場で会見し、土壌汚染の追加対策工事を追認し、「将来リスクを踏まえた安全性が確保された」との評価を示しました。同時に、この日公表した6月の地下水調査では、土壌汚染対策後最大となる環境基準の170倍のベンゼンが検出され、地下に深刻な汚染が残っていることが明らかになりました。

 追加対策は、本来行うはずだった土壌汚染対策の盛り土に変わって同会議が提言したもので、(1)地下空間の床面にコンクリートを敷設し、換気を行う(2)揚水井戸を増設し、地下水位を管理するというもの。

 しかし、海抜1・8メートルで維持管理するとしていた地下水位は、観測井戸33カ所中16カ所(27日現在)で達成できておらず、うち8カ所では「当面の目標」とした海抜2・0メートルも達成できていません。

 地下水位が下がらず、盛り土が再汚染された可能性について、平田氏は「分からない」としながら、再調査は行わないと述べました。

 地下水調査では、ベンゼンが最高170倍を検出したのは青果売場棟がある5街区の井戸でした。検出されてはいけない猛毒のシアンは23カ所中17カ所で検出されました。


解説

汚染残ったまま

移転の強行やめよ

 「将来リスクを踏まえた安全性が確認された」という評価を明らかにした専門家会議。しかし、東京ガス工場操業由来の深刻な土壌汚染問題は何ら解決しておらず、豊洲新市場において食の安全・安心は保証されません。

 6月の地下水調査結果でも、過去最高となる環境基準の170倍のベンゼンを検出しました。

 土壌汚染対策が失敗し、汚染は残ったまま。小池百合子都知事は昨年、都が約束していた汚染の「無害化」を放棄しました。汚染された土地に生鮮食料品を扱う市場をつくることに根本的な矛盾があります。

 こうした矛盾を抱えるもと、豊洲移転ありきで議論を重ねてきたのが専門家会議でした。

 追加対策に対しては、土壌汚染の専門家からも、コンクリートの劣化や大地震によって、地下の汚染物質が揮発して市場建物に流入するリスクが指摘され、効果がないと批判されています。

 専門家会議は今回の見解公表にあたり、設置要綱で「公開で行う」とした会議を開きませんでした。このことについて平田氏は「専門家会議で決定したのは昨年6月の提言まで。今回は評価だ」と強弁しました。こうした手続きの面でも重大な問題があります。

 豊洲移転は汚染の無害化が前提だった以上、その前提がなくなった今、移転を強行すべきではありません。市場業者の目の届かないところで「安全」だと結論づけるのではなく、移転を中止して築地市場の現地再整備を行うべきであり、少なくとも豊洲新市場の10月開場は延期すべきです。(細川豊史)


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