2018年8月10日(金)
主張
18年世界大会閉幕
広がる共同 新たなステージへ
核兵器禁止条約の署名・批准の開始、歴史的な米朝首脳会談の実現など激動の情勢のもと、広島と長崎で開かれていた原水爆禁止2018年世界大会は、23カ国の海外代表はじめ国内外から多くの人たちが参加し、運動の一層の発展を呼びかけ、9日閉幕しました。
根本の力は世論と運動
昨年採択された核兵器禁止条約は、平和運動に新たな勢いと希望を与え、「核兵器のない世界」を求める声は世界の本流となっています。一方、核保有国などはかたくなに禁止条約に反対し、アメリカやロシアは核戦力の近代化や核使用政策の強化をはかっています。この中で、どう情勢を切り開くのかが世界大会の焦点となりました。
4日採択された国際会議宣言は、「禁止条約を推進する勢力と、反対する勢力とのせめぎあいが激しくなっている」もとで、「前進する決め手は世論と運動の発展である」ことを明らかにしました。そして禁止条約を一刻も早く発効させるとともに、核兵器固執勢力の抵抗をのりこえ、「核兵器のない世界」への確かな道を開くために、被爆75年の2020年も展望した「壮大な運動」を提起しました。
大会には、核兵器禁止条約の採択に尽力してきた5カ国の政府代表も参加し、市民社会と諸国政府の「共同の力」が、一段と進展していることが示されました。オーストリア政府を代表して参加したトーマス・ハイノッチ外務省局長は、市民社会との協力を訴えるとともに、「最終的には国民にかかっている」とのべました。
各国でも共同の努力が始まっています。「核兵器を主要課題としていない組織」にも禁止条約の意義を語って支持と共同を拡大しているイギリスなどの経験も紹介されました。日本では、ヒバクシャ国際署名や平和行進などで新たな共同が広がりつつあります。「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」の福山真劫共同代表が初めて世界大会であいさつに立ち、日本の平和運動は「分裂の時代から共闘の時代へ」進んでいる、「原水禁運動も新しいステージに」と訴えました。辺野古新基地を造らせない「オール沖縄会議」の代表も初めて参加し、連帯の決意を固め合いました。急逝した翁長雄志知事の遺志を引き継ぎ、新基地建設阻止のたたかいを、さらに前進させることが必要です。
朝鮮半島をめぐる非核・平和の動きも重要なテーマでした。国際会議宣言は、一連の変化の背景には「諸国民の反核平和の世論がある」とし、「このプロセスをなしとげる根本の力もまた世論である」と強調しました。
ヒロシマ・ナガサキの実相を広げ、非核と平和を求める圧倒的な世論を築くことが重要です。
被爆国の政府として
日本政府は、いまこそ唯一の戦争被爆国として国際的な責務を果たさなければなりません。
ところが安倍晋三政権は、「核の傘」にしがみつき、核兵器禁止条約に背を向け続けています。首相が今年も、広島と長崎の平和式典で禁止条約に一言も触れなかったことに批判が広がっています。
野党と市民の共闘を発展させ、安倍政権を退陣に追い込み、被爆国にふさわしい政府をつくることは急務です。ヒバクシャ国際署名をはじめ、国民的な原水爆禁止運動の発展が求められます。