2018年8月10日(金)
原水爆禁止2018年世界大会・長崎決議
長崎からの手紙
9日、原水爆禁止2018年世界大会・ナガサキデー集会が採択した「長崎からの手紙」は次の通りです。
73年前、広島につづいて被爆地となった長崎に集った私たちは、すべての国の政府にたいし「核兵器のない世界」の実現のために尽力することを訴えます。
原爆で背中を灼(や)かれながらも、核兵器の廃絶を訴えつづけた“長崎の郵便配達夫”谷口稜曄(すみてる)さんは昨年8月に亡くなる直前、最後のメッセージを残してこう訴えました。「私たち被爆者が、もし一人もいなくなった時に、どんな形になっていくのか、それが一番怖い」「一日でも早く核兵器をなくす努力をしてもらいたい」―
被爆者たちは長年にわたり、その筆舌につくしがたい体験を人々に伝え、核兵器と人類が共存できないことを訴えてきました。私たちは各国の指導者が、被爆者たちの警告に真摯(しんし)に耳をかたむけ、人類の未来のために熟考し、行動することを求めます。
広島と長崎への原爆投下は、核兵器の使用がいかに破滅的な人道上の結末をもたらすかを示しています。いかなる状況の下であっても、この惨劇を二度と繰り返してはなりません。世界に存在する1万4千発をこえる核兵器は、いまなお人類の生存にたいする脅威となっています。この危険から人類を救い、すべての国の平和と安全を守るには、核兵器の完全廃絶以外にありません。
「核兵器のない世界」は、誰も否定できない世界の共通目標です。昨年7月7日に国連会議で採択された核兵器禁止条約は、それを達成するための歴史的一歩であり、被爆者をはじめ多くの人々が、新たな希望を感じています。しかし、目標へと前進するためには、さまざまな困難や障害をのりこえなければなりません。私たちは、核兵器のない世界の平和と安全への展望をきりひらくために、すべての国の政府に以下の行動を訴えます。
―核兵器禁止条約への署名と批准をすみやかにおこなうこと。条約の精神にもとづいて、発効のための国際協力を促進すること。
―核不拡散条約(NPT)再検討会議で合意された「核兵器の完全廃絶」の「明確な約束」(2000年)やそのための「枠組をつくる特別の努力」(2010年)を実行し、NPT第6条の核軍縮交渉の義務をはたすこと。中東非核兵器地帯についての会議開催の合意(1995年)をただちに履行すること。
―被爆者による証言や原爆被害の写真展示など、核兵器の非人道性についての啓発活動を積極的に行い、ヒバクシャ国際署名をはじめ市民社会のさまざまな活動を支援すること。
「核兵器のない世界」を実現するためには、諸国政府と市民社会の共同が必要です。ともに力をあわせていくことを心から訴えます。
ノーモア・ヒロシマ ノーモア・ナガサキ ノーモア・ヒバクシャ
長崎を最後の被爆地に―