2018年8月11日(土)
島根3号機 審査申請
負の遺産残さない
中国電力が10日、建設中の島根原発3号機(松江市)の稼働に向けて原子力規制委員会に審査を申請したことに対して、地元島根から抗議の声が上がっています。
住民抗議の声
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しまね総がかり行動実行委員会事務局で島根大学の関耕平准教授(40) 電力の必要性や避難計画の実効性などについても大きな疑念が呈されていて、司法判断も分かれている現状では、まだまだ新規稼働のハードルは高い。安全性だけでなく、たとえば漠然とした経済効果への期待など、住民が意思決定するうえでの情報が十分いきわたっておらず、熟議の条件がそろっていないのが島根県の現状ではないか。こうしたなかで、稼働に向けたステップを前に進める今回の事態、それに対し、地域住民に責任を持つ首長が異を唱えなかったことは大いに批判されるべきだろう。
松江市の金曜日行動実行委員会の岩本晃司代表(70) 原発は負の遺産。将来、孫たちに叱られたくない。3号機は「こわいこわい施設だったんだよ」と子どもたちに教えられるような見学施設にするべきだ。燃料を入れる前に絶対に稼働計画を止めなければならないと話しました。
法政大学名誉教授・元島根県立大学副学長・同大名誉教授の飯田泰三氏(75) 全国の原発を即廃止にすべきだ。この猛暑のなか、ほとんどの原発が止まっているにもかかわらず、電力は足りている。
命守るのが自治体の使命
日本共産党島根県議団の尾村利成団長の話 原発から30キロ圏内に暮らす約47万人のうち、入院患者や社会福祉施設の入所者、在宅の要支援者などの災害弱者は、1割以上にのぼります。これだけの災害弱者が避難できるような実効性ある避難計画は未策定です。こういう中で、原発を稼働するのは絶対に許されないことです。
国のエネルギー基本計画は2030年度の原発による発電割合を20~22%として、島根原発の稼働を含んでいます。県政は、国の原子力政策に無批判であってはなりません。住民の命と安全を脅かす間違った国の政治に立ち向かうことこそ、自治体の使命です。
圧倒的多数の県民の願いは「原発ゼロの島根」であり、引き続き多くの県民と力を合わせて、原発を動かさないたたかいを広げていく決意です。
反原連 官邸前「3号機動かすな」
首都圏反原発連合(反原連)は10日、首相官邸前抗議を行いました。中国電力が島根原発3号機の新規稼働へ、原子力規制委員会へ新規制基準への適合性審査を申請。参加者は「島根(原発)3号、動かすな」などのコールで抗議の声をあげました。
東京都内から参加した女性(64)は「なんで今になって原発を新しく動かすのか。福島の原発事故を見ても“事故は起きない”とでも思っているのか」と憤りあらわにしました。
この日、550人(主催者発表)が参加。日本共産党の宮本徹衆院議員が国会正門前エリアで「島根原発は、全国で唯一、県庁所在地にあり、30キロ圏内には40万人以上が住んでいる。目先の利益だけを見て、新たな原発を動かすなど許されない」と訴えました。