2018年9月4日(火)
主張
概算要求締め切り
100兆円超す予算 大問題が山積
2019年度予算の各省庁の概算要求が8月31日締め切られ、年末の政府予算案編成に向けた財務省の査定作業が始まります。要求総額は、過去最大の102兆円台後半になるとみられます。安倍晋三首相が政権に復帰してから続いている軍事費の異常突出、社会保障予算の圧縮、消費税の増税、増え続ける財政赤字とその利払いに充てる国債費の増加など問題の多い予算編成です。
“バターより大砲”露骨に
まず問題なのは、安倍政権になって続いている軍事費の突出、社会保障予算の圧迫という“バターよりも大砲”の特徴がいよいよ明白になり、平和と暮らしを破壊するとともに、財政が果たすべき役割を投げ捨てていることです。
軍事費は、安倍首相が政権に復帰して最初に手掛けた13年度予算以降連続して増え続け、19年度予算の防衛省の概算要求ではついに、5兆3000億円近くに達しました。これから上積みされる米軍再編経費などを含めると5兆5000億円を超えます。国民の重大な負担になるとともに、陸上配備型の迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」を2000億円以上もかけて導入するなど、地域の緊張を高め平和を脅かします。
一方、人口の高齢化などに伴って支出が増える社会保障予算の中心になる厚生労働省の概算要求は31兆9000億円近くですが、安倍政権は「自然増」予算を含め大幅に削り込む計画です。国民の暮らしを脅かす削減路線を転換する姿勢はありません。
財政は本来、能力に応じて国民が負担する税金を使って、福祉や経済を充実させ、国民の所得を再分配するのが役割です。軍事費はどんなに増やしても、軍需産業や日本に兵器を売り込むアメリカを喜ばすだけです。年金や介護など社会保障予算の削減は、所得再分配に逆行します。“バターより大砲”の予算を続けることは財政の役割を破壊し、戦前の日本やドイツ(ナチス政権)のように、国家を破滅に導きます。
19年度予算編成のもう一つの問題は、同年10月からの消費税の増税を前提とし、国民の負担で財政の膨張を続けるとともに、「反動減対策」と称して、自動車や住宅などの購入支援や、増税分の値上げがやりやすくなるなどの施策を取ろうとしていることです。具体的な中身は年末にかけての予算編成で具体化されますが、政権内には来年の選挙をにらんで10兆円規模という声まで出ています。
消費税は低所得層ほど負担が重く、暮らしも経済も破壊するのは明らかです。一部の大企業や政権党のために使われるのでは、増税そのものの根拠がありません。
「アベノミクス」の破綻
19年度概算要求のさらに見過ごせない問題は、国の借金である国債の元利払いに充てる国債費が、財務省の概算要求で今年度より3・2%多い、24兆6000億円近くに膨らんだことです。安倍政権の経済政策「アベノミクス」は金融緩和を口実に銀行などの国債を買い集め、財政拡大を理由に財政赤字を増やしてきました。そのツケが金利上昇圧力、赤字拡大を招いたためです。国債費増は文字通り「アベノミクス」の破綻です。
安倍政権の「アベノミクス」をやめ、軍拡や社会保障の削減、消費税増税は中止すべきです。