2018年9月22日(土)
接待 6省庁に触手
本紙、対象者リストを入手
一晩10万円の幹部も――文科省汚職調査
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文部科学省の接待汚職事件を受けて同省が21日に発表した、調査・検証チームによる第1次報告。報告や本紙が入手した接待対象者リストからは、贈賄側の医療コンサルタントが文科省のみならず他省庁の大臣や官僚へも触手を伸ばしたことがわかりました。(矢野昌弘)
21日の事務次官辞任の会見で、「自身の認識の甘さ」と繰り返した戸谷一夫前事務次官(61)。
戸谷氏は文部科学審議官だった2015年10月、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の理事だった川端和明被告=収賄罪で8月に起訴=から「元国会議員が参加する会合に参加しないか」と誘われたといいます。
東京・四谷の飲食店での会合には、元国会議員はじめ医療コンサルタント会社元役員の谷口浩司被告=贈賄罪で8月に起訴=が参加。この後、2次会のためタクシーで銀座のクラブへ。どちらの飲食費もタクシー代も、戸谷氏は一切負担しませんでした。
調査・検証チームの調べによると、戸谷氏が一晩で受けたのは「少なくとも6万円を上回る程度の高額な供応接待」でした。
今回の調査で、戸谷氏はじめ文科省幹部5人が接待を受けたことがわかりました。10万円を超える接待を受けた幹部もいました。
こうした接待を受けた幹部には、谷口被告から「知り合いの他省庁の幹部との懇談の機会を持ちたいので調整してほしい」と頼まれた例もありました。
田村元厚労相 リストに名前
事務所は会食否定
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谷口被告の“標的”は文科省だけではなかったのです。本紙が入手した谷口被告側の接待対象者リストには厚生労働省、外務省など6省庁31人が載っていました。逮捕、起訴された文科省前局長の佐野太被告や川端被告の名前もあります。
リストに載っていた自民党の田村憲久元厚労相は「谷口氏との会食、接待、寄付などの事実は一切ない」と本紙の取材に回答しました。田村事務所によると、厚労相在任中の13年10月に他党の元国会議員と面会。その際の記録で、谷口被告が元国会議員に随行していたことがわかったといいます。「私としては同席されていた方が谷口氏だったという認識はありません」としています。
谷口被告らの接待攻勢が文科省だけにとどまるのか、追及が求められます。
調査・検証チームの報告は「枢要なポストにつく幹部が数多く供応接待を受けていたという現実は、単に個人の問題に帰着させるでは不十分」と指摘しています。
戸谷氏や佐野被告らを幹部に任命した安倍政権の任命責任が問われます。