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2018年10月22日(月)

トランスジェンダー法案可決

性転換手術の無償化 弾圧・迫害に補償も

ウルグアイ下院

 南米ウルグアイの下院は19日、身体と心の性別が一致しないトランスジェンダーの人たちへの差別や不利益を解消するための総合的な法案を賛成多数で可決しました。性転換手術の無償化、軍事政権下(1973~85年)の弾圧被害への補償なども盛り込んだ法律は中南米では初めてで、メディアも「歴史的な法律」と評価。法案は先に上院を通過しており、大統領の署名を経て発効する予定です。

 現地からの報道によると、18日午後に始まった下院(定数99)の審議は19日未明におよび、出席議員88人中62人の賛成で可決。首都モンテビデオの国会議事堂前に詰めかけていた、人権組織やLGBT(性的少数者)関連団体の活動家から歓声が上がりました。

 法案はバスケス政権を支える中道左派の与党連合「拡大戦線」が提出。保守的な野党側にも賛成者がいました。拡大戦線のマヌエラ・ムッティ下院議員は、法案可決によって「ウルグアイは、権利や民主主義の点だけでなく、参加型でより公正な社会を実現するという点でも前進することになる」とコメントしました。

 今回の法案でトランスジェンダーの人たちは、本人が希望すれば、出生証明書など各種公的文書で性別や名前の変更を行い、性転換手術も国家の費用で受けることができます。ただ、18歳未満の未成年者の場合は、保護者の同意が必要となります。

 トランスジェンダーの人たちは軍事政権下で厳しく弾圧・迫害されました。法案は被害者への補償を定め、生存する約180人に対し月額1万1500ペソ(約4万円)の補償金を支払うとしています。

 法案はさらに、今後15年以内に、公的機関の雇用の1%をトランスジェンダーの人たちに割り当てることを目指すとしています。(菅原啓)


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