2018年10月29日(月)
学問・報道何ができる
学者の会がシンポ
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「安全保障関連法に反対する学者の会」は27日、東京・早稲田大学で「アカデミズムとジャーナリズムは何ができるのか」と題し、沖縄、女性、労働、市場の各分野から考えるシンポジウムを開催。約300人が参加しました。
広渡清吾東京大学名誉教授が「安倍政権を代えなければと多くの人が考え始めている」、後藤雄介早稲田大学教授が「民主主義が失われないためにともに考えたい」とあいさつ。
琉球新報の松元剛・元報道本部長は沖縄知事選を振り返り「政権挙げての過剰な締め付けが自壊した。デニー氏への誹謗(ひぼう)中傷が若者の反発を招き、平和と命を守りたいと願う女性の力も大きかった。力や金に屈しない、尊厳を賭けた民意を示した。地方ごとに明確な争点を掲げてたたかえば全国で勝てるという教訓になった」と分析。県民が朝鮮半島情勢の変化にも敏感だったとのべました。
政治分野の男女共同参画推進法成立に取り組んだ三浦まり上智大学教授は「メディアと大学人に支えられた市民運動の力が議員を動かした。女性が3割を超えると意思決定が変わる」と指摘し、女性議員が増えれば国の政策が変わると強調しました。
「労働」について発言した竹信三恵子和光大学教授は、安倍政権下では人材ビジネスが省庁を支配し労働政策をつくっていると指摘。巨大企業をもうけさせる法案を「働き方改革」と名付け、統計操作までする安倍政権の広報戦略を告発し、市民が声を上げ情報発信し、メディアを動かす必要性を訴えました。
「市場」をテーマに発言した間宮陽介青山学院大学特任教授は、本来、国家と自由は対抗関係にあるが、国家の力で規制を「自由化」し、ビジネスチャンスをつくってやるのが新自由主義であり「国家自由主義」といえるとし、自由の名の下で「評価」によって統制する考え方が教育や医療など社会のすみずみに浸透している現状を論じました。
西谷修立教大学特任教授がコーディネーターを務め、佐藤学学習院大学特任教授が「尊厳をかけて、幅広い連帯でたたかっていこう」と閉会あいさつしました。