2018年11月1日(木)
自民・下村氏の元政策秘書パーティー券疑惑
実質クロの「起訴猶予」
市民ら東京検察審査会に申立書提出
自民党の下村博文元文部科学相を支援する政治団体「博友会」が、政治資金パーティーの収入を実際より少なく政治資金収支報告書に記載していたとして、政治資金規正法違反(不記載)の疑いで東京地検に告発されていた問題で、31日、下村氏の政策秘書だった兼松正紀氏が「起訴猶予」で不起訴となっていたことが分かりました。
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起訴猶予とは、起訴できる証拠はあるものの、犯罪内容の軽重などを考慮して検察官が起訴を見送ることです。疑惑について下村氏は説明しておらず、あらためて責任が問われます。
起訴猶予の事実は、下村氏を告発した「政治資金オンブズマン」共同代表の上脇博之・神戸学院大学教授らに東京地検が送った不起訴処分理由告知書で判明しました。
博友会は下村氏の事務所で事務処理をしていた団体です。同会は、2013年10月3日に東京プリンスホテルで政治資金パーティーの「セミナー」を開催。告発状によるとセミナーの収入は合計2019万円あったのに、政治資金収支報告書には半分以下の980万2円と記載し、1039万円が「裏金」として支出された疑いがあるとしています。
今年8月に下村氏は「嫌疑不十分」で不起訴に。博友会の会計責任者でもあった兼松氏は起訴猶予で不起訴になっていました。
上脇氏らは告知書を受けて同日、東京検察審査会に、下村氏と兼松氏について「起訴相当」の議決を求め申立書を提出。申立書では「起訴猶予は不当であり、起訴すべき事案です」と訴えています。
提出後の記者会見で上脇氏は「裏金をつくるような悪質なものについては裁判をして、誰の指示で、何のために、何に使ったのか明らかにしていただきたい」と訴えました。
下村氏は昨年6月、東京都議選の終了後に説明するとしましたが、その後、説明してきませんでした。不起訴となると「身の潔白が証明できた」として表舞台に復活。安倍晋三首相の側近として自民党の憲法改正推進本部長に就任しています。
会見に同席した澤藤統一郎弁護士は「いいかげんな政治資金報告しかしていない人物に憲法改正を論じる資格はない。きちんと刑事司法の制裁を受けてもらわなければいけない」と訴えました。