しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2018年11月14日(水)

出入国管理法改定案についての藤野議員の質問(要旨)

衆院本会議

 衆院本会議 日本共産党の藤野保史議員が13日の衆院本会議で行った出入国管理法改定案についての質問の要旨は次の通りです。


 本法案審議で何より大切なことは、128万人の外国人労働者の実態をどうみるかです。

 1990年の入管法施行以来、政府は在留資格を次々と追加して外国人労働者を受け入れてきました。技能実習生、留学生、日系人の建前をとりながら、実際は安価な労働力として利用してきたのです。30年にわたる外国人労働者受け入れをどう総括し、どういう問題があると認識しているのですか。

 先日、野党合同ヒアリングで技能実習生が涙ながらに訴えました。「段ボール工場で仕事中に左手の指を3本切断したが治療費は自己負担を求められ、帰国を迫られた」「時給300円、1日16時間労働を強いられた」

 多くの技能実習生は渡航前費用などの借金に縛られ、職場移転の自由もなく、悪質な例では送り出し機関、受け入れ機関、監理団体の3者から搾取され、過酷な環境に耐えかねて逃亡すれば在留資格を失い入管に強制収容され、さらなる人権侵害にさらされるのが実態ではありませんか。

 法務省は、昨年失踪した技能実習生2892人からの聞き取りを行いました。「失踪動機」の86・9%が最賃以下を含む「低賃金」だと明らかにしましたが、「聴取票」には、「失踪動機」のほかにも、「送り出し機関」や「ブローカー」「送り出し機関に払った金額」「送り出し機関以外に払った金額」「月額給与」「給与から控除される額」などの項目が並んでいます。審議の大前提として聴取票データを直ちに提出すべきです。

 法案は、実習生の深刻な実態を改善するものになっていません。現状を温存したままの外国人労働者受け入れ拡大は絶対に許されません。

 「人手不足」を理由に「初年度で4万人を受け入れる」と言いながら、どの業種に何人受け入れるのか審議の前提となる資料はいまだ提出していません。ところが、今朝のNHKニュースなどが、「政府試算」に基づき見通しなどを報道しました。国会軽視もはなはだしい。具体的数字と根拠を明示していただきたい。

 本案は、重要事項のほとんどを基本方針や省令以下に先送りする白紙委任法案です。そこで質問します。

 特定技能1号について、政府は「最長で5年」と説明しているが、実際には1年ごとの更新制で、しかも在留の前提となる雇用契約は1年以下、たとえば3カ月の短期契約も可能なのではないか。しかも派遣契約を排除しておらず、国が雇い止め、整理解雇にお墨付きを与えるものではないか。技能実習生だけでなく、留学生をも食い物にするブローカーの存在が指摘されているが、本案で悪質な団体が排除される担保はあるのか。「転職は可能」というが、支援機関が不正に関与していた場合、だれがどう転職を支援するのか。「日本人と同等の報酬」と言うが、日本人でも非正規雇用や男女間の賃金格差が問題なのに、一体どんな日本人と比較して「同等」なのか。

 求められているのは外国人労働者の基本的人権が保障される秩序ある受け入れです。劣悪な労働実態を放置して受け入れを拡大すれば、日本人労働者の権利と労働条件にも重大な影響を及ぼします。徹底審議で廃案とするよう強く求めます。


pageup