2018年11月18日(日)
カネミ油症 苦しみ今も
患者認定見直しを 長崎・五島で式典 半世紀 教訓探る
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ダイオキシン類(PCDF)などに汚染された食用油による大規模な食中毒事件「カネミ油症」の発覚から50年になるのを記念し、改めて半世紀続く被害を見つめ直すことで未来に教訓を伝える式典が17日、油症被害の相次いだ長崎県五島市で開かれました。
油症患者や支援団体、五島市などでつくる実行委員会が「油症の経験を未来につなぐ集い」として主催。全国から集まった患者ら約200人が油症で亡くなった人を追悼しました。
下田守実行委員長は、長い苦難を生き抜いた被害者とともに、病苦などへの悲観で自死を選んだ人を含む犠牲者一人ひとりに話しかけるようにあいさつ。「差別や偏見から油症であることを知られたくないと、今も被害を隠し生きざるを得ない状況が続いている。50年は一つの区切りであっても決して終わりではない」と語りました。
カネミ油症被害者五島市の会の旭梶山英臣(あさひかじやま・ひでおみ)会長(68)は、血液中のPCDF濃度を重視する患者診断基準の下、症状はあっても油症と診断されない多くの未認定被害者が取り残されている現状を指摘。国などに「認定基準を改善していただきたい」とのべました。
来賓の坂口力元厚労相も「血中濃度が高くなくても、症状がある人もいて、(現行基準では)そういう人を救うことができない。症状の有る無しによって認定してもいいのではないか。もう一度、検討すべきことではないか」と認定の在り方を見直すよう訴えました。
式典後の分科会で、1979年発生の台湾油症事件の関係者らも交え、社会全体で被害者を支える態勢がある台湾と、企業の存続や経済を優先する日本との違いなどについて討論が交わされました。
日本共産党の江川美津子、橋本憲治両五島市議が参加しました。