2018年11月21日(水)
ゴーン容疑者に力集中
日産社長 経営責任 言及無し
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「一人の個人に力が集中しすぎた」。日産自動車会長のカルロス・ゴーン容疑者(64)の逮捕を受け、西川(さいかわ)広人社長は19日の記者会見でそう語りました。会見は横浜市西区の日産本社で、午後10時から1時間半に及びました。
日産の社内調査によると、ゴーン容疑者らは「複数の重大な不正行為」をしていました。
―報酬を少なく有価証券報告書に記載した。
―私的な目的で投資資金を使った。
―私的な目的で会社の経費を使った。
役員の中で不正を知っていた人数など具体的な内容について問われると「捜査との関係」を理由に公表を避けました。
「力の集中」の背景とは何か―。西川氏は、ゴーン容疑者が日産の43%の株主であるルノーの代表者であり、日産の取締役会の議長でもあることに言及。「注意しなければいけない権力構造だった」と述べました。
しかし、ゴーン容疑者がルノーと日産の最高経営責任者を兼務することになった当時、西川氏は「日産にとってはいいことで、どういうことが将来起きるかあまり議論しなかった」といいます。
ゴーン容疑者について「カリスマか暴君か」と問われ、西川氏は「特に初期、大きな改革をした実績は紛れもない事実。その後については、功罪両方あるというのが実感だ」と説明。「いろいろ積み上げてきたことを全部否定することはできない」と、ゴーン容疑者が工場閉鎖や非正規労働者の雇い止めで利益を出してきたことを肯定しました。
西川氏は「株主の皆さま、関係者の皆さまに多大なご心配をおかけする事態になったことを、会社を代表して深くおわび申し上げたい」と手元の紙に目を落としながら述べましたが、頭を下げることはありませんでした。社長としての責任については、「猛省」と口にしました。ただ「一日も早く会社を正常な状態にさせるのが私の仕事」と述べるにとどめました。