2018年11月22日(木)
実習生失踪 政府なお実態ゆがめる
入管法改定案 野党が追及
法相 小池氏への答弁 誤り認める
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外国人労働者の受け入れ拡大のため、新たな在留資格をつくる出入国管理法改定案が21日、衆院法務委員会で審議入りしました。山下貴司法相は、外国人技能実習生の失踪理由をめぐる答弁の誤りを認め陳謝しました。他方で、失踪理由の第一は「低賃金に不満を持ち、より高い賃金を求めて」だと強弁。野党は、政府がなお、技能実習生の身勝手な理由による失踪だと実態をゆがめて描いていると追及しました。(論戦ハイライト)
衆院委審議入り 藤野議員が質問
山下法相が陳謝したのは、7日の参院予算委員会で行った日本共産党の小池晃書記局長への答弁。失踪理由について、「現状の賃金等への不満からより高い賃金を求めて失踪する者が約87%だ」と述べた箇所です。山下法相は「誤った資料に基づいて答弁した。心からおわびする」と陳謝し、「低賃金(を理由とする回答)が67・2%だ」と答弁を修正しました。
日本共産党の藤野保史議員は、聴取票によれば、失踪の圧倒的な理由は、法令違反を含む低賃金や人権侵害など、使用者側の責任だと強調。歴代法相が失踪理由を「実習意欲が低く、より高い賃金を求めて」などと答弁していることについて、「意欲が低い」とする根拠をただしました。
法務省の和田雅樹入国管理局長は、「監理団体等への聞き取りだ」と答えながら、その結果は集計していないとして、根拠となる聴取結果の提出を拒みました。
藤野氏は「根拠を示さないまま、『意欲が低い』と実習生をおとしめる表現で答弁してきたということだ。看過できない」と批判し、根拠を示すよう強く求めました。山下法相は、歴代法相の答弁は修正しませんでした。
立憲民主党の山尾志桜里議員は、実習生への聴取票の集計結果を訂正してもなお、失踪原因の第一に「低賃金に不満を持ち、より高い賃金を求めて」を挙げる法務省の見解を批判。低賃金の中身は、多くが「最低賃金以下」「契約賃金以下」であり、「不満ではなく正当な権利主張だ。表現を改めるべきだ」と強調しました。