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2018年11月29日(木)

入管法改定案に対する藤野議員の反対討論

衆院本会議

 日本共産党の藤野保史議員が27日の衆院本会議で行った、出入国管理法改定案に対する反対討論は次の通りです。


写真

(写真)反対討論する藤野保史議員=27日、衆院本会議

 私は、日本共産党を代表して、入管法改定案に対して断固反対の討論を行います。

 反対理由の第1は、議会制民主主義をふみにじる審議の進め方です。

 本案の審議は21日の法務委員会で始まったばかりであり、審議すればするほど問題が明らかになっています。世論調査でも、日を追うごとに「今国会の成立にこだわるべきではない」という意見が増え、いまや8割を超えています。

 いま国会がやるべきことは、この国民の声に応えて徹底的な審議を行うことです。ところが、政府与党は、安倍総理の外遊日程にあわせて委員会の審議日程を決め、本案を採決しようとしています。これは国会を政府の下請け機関におとしめるものであり、言語道断です。

 第2に、本法案が、「人手不足」を理由に、外国人労働者を雇用の調整弁にしようとしていることです。

 本案は、受け入れ業種や規模・人数など、具体的なことは全て「省令以下」に委ねる白紙委任法であり、法案の体をなしていません。

 本案で新設される「特定技能1号」の在留資格は、1年ごとの更新制です。また、在留の前提となる雇用契約は1年以下、例えば3カ月の短期契約も可能です。さらに、派遣契約も排除していません。

 結局、本案は、「5年」を上限として、雇用契約や在留期間を短期で繰り返す外国人の非正規労働者をつくり出すものです。これは、外国人労働者を雇用の調整弁とするものにほかならず、断じて認めることはできません。

 第3に、本法案が、安価な労働力としての技能実習生を使い続けるために、ウソにウソを重ねる欺瞞(ぎまん)的な法案となっている点です。

 政府は、技能実習制度について、国際貢献を建前としつつ、実際には劣悪な労働条件で働かせています。本音と建前を使い分ける欺瞞的な受け入れを続けてきたことが、矛盾を拡大させ、多くの実習生を苦しめています。

 安倍総理は、本法案で技能実習生の実態が改善されるかのような答弁をしていますが、本案には実習生の処遇を改善する規定は一つもありません。参考人質疑では、「母国や日本国内でのブローカー規制がまったくない」、あるいは「人材派遣ビジネスが横すべりしてくるのではないか」などの指摘が相次ぎましたが、こうした課題は野放しのままです。

 本法案は、実習生からの移行を前提にしています。実際、受け入れ先14業種のうち13業種が実習生からの移行を前提とし、その多くが8割から10割の移行を見込んでいます。山下(貴司法務)大臣の「半年遅れれば、数万の方々が帰国してしまう」という答弁は、本法案が、今いる技能実習生を使い続けようとするものであることを如実に示しています。

 失踪した技能実習生からの聴取票は、実習生の実態を解明するうえで不可欠の資料です。その提出を政府・与党が拒否する中でも、野党が884枚の聴取票を調べたところ、86%が最賃割れだということが明らかになりました。暴力やセクハラなど人権侵害も浮き彫りになっています。こうした実態を踏まえて、徹底審議を行うことこそ、国会の責務です。

 劣悪な状態にある技能実習生をそのまま使い続けるために、本法案を無理やり押しとおすことは二重三重に許されません。このことを強く主張して、討論を終わります。


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