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2018年11月30日(金)

漁業法改悪案への田村貴昭議員の反対討論

衆院本会議

 日本共産党の田村貴昭議員が29日の衆院本会議で行った漁業法改悪案への反対討論は次の通りです。


 法案の最大の問題は、漁業をなりわいとする地元漁業者に優先的に漁業権を与え、漁協が主体となって沿岸漁場の環境を守ってきた仕組みを廃止し、知事の裁量で、生産性の高い企業に漁業権を与えようとしていることです。また、漁場の調整などを行う海区漁業調整委員会の公選制も廃止します。今、有効に機能している制度を廃止する必要はありません。

 「成長産業化」の名のもと、沿岸漁場に地元漁協と無関係に養殖企業が参入すれば、環境保全や漁場監視、出荷調整など、漁協のもとで協議しながら行ってきた海面利用の仕組みが崩れるのは必然です。

 この法案を先取りした宮城の水産復興特区では、知事が一方的に企業に漁業権を与え、浜に混乱と対立を持ち込みました。このことへの反省や検証がないまま全国に広げるなど、断じて許せません。

 現在のルールでも、企業は漁協の組合員として沿岸漁業に参入しています。変える必要はまったくありません。

 水産資源の管理は重要です。しかし、今回の、魚種ごとに漁獲可能量を設定し、個々の漁船ごとに割り当てる制度の導入は問題です。

 法案に先行して導入されたクロマグロの資源管理では、政府が沿岸漁業者の意見を聞かず、大規模漁業を一方的に優遇し、小規模な漁業者が生活できない事態に陥りました。

 本法案においても、漁獲割り当ての配分に沿岸漁業者の意見を反映する仕組みはなく、禁漁を余儀なくされた場合の補償もありません。資源管理は、漁業者の自主的な取り組みを最大限支援するべきであり、制限が必要な場合には、まき網など、資源に最もダメージを与える大規模漁業から抑制するべきです。

 漁船の大きさを制限するトン数規制も撤廃されます。大型化を容認すれば、大規模漁業は今以上に高性能なエンジンや機械を導入し、漁獲圧が高まります。水産資源の乱獲が進み、沿岸漁業が大きな影響を受けるのは明白です。

 本法案は、漁業への企業の参入を優先し、沿岸の漁民から海を取り上げるものにほかなりません。

 これほど重大な法案を、全国の単位漁協、漁業者にはほとんど知らせず、審議も尽くさず、無理やり押し通すことは許されません。断固反対です。


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