2018年12月1日(土)
主張
17年政治資金報告
財界献金への依存見過ごせぬ
総務相に届け出られた2017年分の政治資金収支報告が公表されました。10月に総選挙が行われた17年の報告は、政党や政治団体の合計で、収入は前年に比べ2・1%減の1058億円となったものの、支出は1・1%増の1086億円となっており、とりわけ選挙関係費や組織活動費の増加が目立ちます。見過ごせないのは、自民党の収入のうち企業や団体からの献金額が増えており、財界献金頼みの傾向がいっそう強まっていることです。営利が目的の企業の献金は、見返りを求める金権・腐敗政治の温床です。財界献金への依存はやめるべきです。
政治を金で買う企業献金
自民党本部の収入のうち、企業の直接の献金が184万8千円、政治団体の寄付が23億5千万円で、それぞれ前年に比べ132万円と5千万円の増加です。政治団体からの寄付はすべて、企業や業界団体の献金などで28億7846万5千円集めた同党の政治資金団体「国民政治協会」からのものです。同党の収入全体258億5759万7千円のうち1割近くが企業・団体献金です。
“形を変えた企業献金”と言われる政治資金集めのパーティー代など事業収入が3億7434万1千円、税金で賄う政党助成金(交付金)が176億296万8千円と68・1%を占めます。
文字通り企業献金と政党助成金の“二つの財布”で財政を賄っており、政党本来のあるべき姿である、党員が負担する党費や、主権者・国民からの個人献金は、わずかに数%しかありません。
「国民政治協会」を通じた、11、12年の自民党への企業・団体献金は13億円台でした。それが今では倍増するほどになったのは、安倍晋三首相の政権復帰後、14年に財界団体の中枢・日本経済団体連合会(経団連)の会長に榊原定征・東レ現相談役が就任して、「政治との連携強化」を打ち出してからです。毎年「政党評価」と称して自民党の政策を宣伝し、会員の企業や業界団体に献金を呼びかける、事実上の企業献金あっせんが復活・強化しました。法人税の減税や労働法制の改悪など、大企業に都合の良い政策を高く評価して献金を集める、文字通り「政策買収」ともいうべき手法です。
経団連が献金あっせんを復活させてから、経団連の役員企業をはじめ大企業の献金が増加し、公的資金が投入されて中止していた銀行業界の献金も3年前から再開されました。公益企業の電力業界も、関連企業や役員の「個人献金」などの形をとって献金しています。
17年の報告でも経団連前会長の東レが5千万円、中西宏明現会長が会長を務める日立が2850万円献金し、トヨタ自動車が一企業としては最高の6440万円、前会長らの逮捕で話題の日産も3700万円の献金です。
政党の姿を映す鏡
金権・腐敗政治の温床となる企業・団体献金も、思想・信条を無視して国民に負担を押しつける政党助成金も禁止・廃止すべきです。
日本共産党は企業・団体献金にも政党助成金にも依存せず、党員が納める党費と個人の寄付、「しんぶん赤旗」の購読料などで賄っています。政治資金は政党の姿を映し出す鏡であり、国民と結びつき支えられる日本共産党が、国民本位の政治を貫ける証明です。