2018年12月1日(土)
献金自粛の電力業界がパー券
原発再稼働求める9社 稲田氏に事実上の献金
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稲田朋美・自民党筆頭副幹事長の資金管理団体「ともみ組」の政治資金収支報告書から、これまでベールに包まれてきた電力業界からの献金の実態が浮かび上がってきました。原発再稼働を政府に求め、推進してきた電力会社9社がパーティー券代を支出していたのです。
電力会社は地域独占の公益企業のため1970年代から企業献金の自粛を表明してきました。その裏で表に出にくいパーティー券代で、事実上の献金をしていた形です。
30日付で総務省が公表した「ともみ組」の政治資金収支報告書(2017年分)で判明したもの。パーティー券を購入していた電力会社は、北海道電力、東北電力、日本原子力発電、北陸電力、中部電力、関西電力、中国電力、四国電力、九州電力です。福島第1原発事故を起こした東京電力と原発をもっていない沖縄電力は購入していません。
いずれも20万円以下の購入のため、収支報告書に企業名を記載する義務はありません。今回は稲田氏が防衛相だった17年7月に政治資金パーティーを中止したことをうけ、返金した購入者の名前が記載されました。
これによると稲田氏の地元、福井県に原発をおく関電は、関連会社を含め50万円分のパーティー券を購入していました。同県敦賀市に原発をおく日本原電は10万円分を購入していました。また電力会社でつくる電気事業連合会も10万円分を購入していました。9社とその関連企業、電事連をあわせると合計112万円になります。
電力会社の元幹部は「前から原発がある地元議員とエネルギー関係の有力議員はパーティー券を購入してきた。地元ではない稲田氏のような議員のパーティー券を各電力会社が購入するのはめずらしい。稲田氏が安倍首相側近だということも考慮したのではないか」と指摘します。
稲田氏の収支報告書からは、1回で“ぬれ手で粟(あわ)”の高利益のカラクリも見えてきました。
「ともみ組」が毎年、東京都内で開く大規模な政治資金パーティー「稲田朋美さんと道義大国を目指す会」は毎年、2500万円ほどの収入をあげています。パーティーにかかる経費は、16年が599万円(利益率77%)、15年が492万円(同83%)。1回で2000万円もの高利益を得られる計算です。
一方で、購入者が公表されているのは16年がわずか1団体で30万円分のみです。15年にいたっては購入者がまったくわかりません。17年に返金したことで、初めて購入者が明らかになりました。
献金では年間5万円を超えると、収支報告書に献金者の氏名を公表しなければなりません。電力会社はじめ多くの企業・団体が献金より規制がゆるいパーティー券購入を隠れみのに使っている実態の一端が浮き彫りになりました。
国民欺くパー券購入
神戸学院大学教授(憲法学) 上脇博之さん
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企業・団体が政治家からパーティー券を大量に購入しながら、実際に参加する人数が少ないという事例があります。この場合、不参加分のパーティー券購入は政治献金です。
例えば電力会社のように、建前では政治献金は行っていないとしながら、パーティー券購入で、事実上の政治献金をしている。そういう点で国民を欺いていると言わざるをえません。
稲田氏は防衛相の時に防衛省の取引企業からパーティー券の購入を受けていました。これは企業から利益を受け、税金が稲田氏側に還流した形になっており、業者との癒着という疑惑が生じます。
疑惑が生じないようにするためには、そもそも企業・団体献金を禁止すべきです。一気にそれが実現しないとしても、国と契約関係のある企業からのパーティー券購入や政治献金を法律で禁止すべきです。