2018年12月6日(木)
外国人労働者・建設業の特例制度
政府は誇るが実効性なし
仁比、山添両氏の追及で明らかに
外国人労働者の受け入れ拡大を先取りする形で2015年度に始まった建設業の特例制度(外国人建設就労者受入制度)をめぐり、昨年度に検査の入った受け入れ企業のうち、4割で賃金に関する違法・不正行為があったことが明らかになっています。低賃金や家賃の過剰徴収などを防ぐため、国が直接関与する仕組みにしたにもかかわらず、実効性の乏しさが露呈しました。
日本共産党国会議員団は、山下貴司法相が「失踪者が少ない」と誇る同制度の欠陥を指摘。政府・与党が今国会中の成立を推し進める出入国管理法改定案では、規制がさらに緩いと追及しています。
特例制度は、建設業で3年の技能実習を修了した外国人を、さらに最大3年、労働者として受け入れるもの。入管法改定案の新たな在留資格「特定技能」は、同制度で働いた外国人も対象とします。
同制度による受け入れは、国土交通省認定の特定監理団体・企業に限定。賃金水準の確保、過剰な家賃や保証金・違約金の徴収禁止などの要件があります。国の委託機関が巡回指導し、不正があれば認定は取り消されます。
山添拓議員は、17年度の巡回指導で受け入れ企業(518社)の4割に、賃金支払いに関する改善指導がされたと指摘。企業を監査するはずの特定監理団体が見抜いた不正は、これまで1件もないことを明らかにしました。(11月27日、参院国交委)
仁比聡平議員は、技能実習から特例制度に移る際、本国の業者に手数料20万円を要求された事例を紹介し、「国が直接関与する制度でもブローカーが入り込んでいる。『特定技能』でこういう事態が拡大しない保証はない」と追及。国交省は不正行為の疑いを認めながら、「全体としては適正だ」と強弁しています。(同29日、参院法務委)
建設業は、技能実習生の失踪者(17年、7089人)の約4割を占めます。その是正策を迫った藤野保史議員に対し、山下法相は、特例制度の失踪率が実習制度より低いことを持ち出し、「建設業が(失踪者が多い)というレッテル貼りをできるかは慎重に考えないといけない」と強弁。実態に背を向けています。(同21日、衆院法務委)
藤野氏と宮本岳志議員は、「特例制度の実態は技能実習制度と変わらない」(宮本氏=同30日、衆院国交委)などと批判し、検証を求めています。
仁比氏は、改定案には、特例制度のように国が関与する規定はないと強調。「『実習生ではなく労働者だから自己責任』とされ、深刻な低賃金や、勤め先の倒産で路頭に迷う事態が生じかねない。安い労働力を都合よく使い続けようとするものだ」と批判しています。