2018年12月28日(金)
厚労省、導入ありき設計急ぐ
解雇の金銭解決制度
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裁判・審判に請求は限定へ
不当解雇でも金銭を払えば解雇が容認される制度の導入に向けて、法技術的論点に関する審議を行ってきた専門家の検討会で27日、厚生労働省は、制度の骨格を決めるさいの論点を示しました。
「解雇の自由化につながる」との労働者の反対を抑えるために、解決金を請求できるのは現段階で労働者に限るとし、1回の裁判で解決できる仕組みを提示するとしています。
この日の会合では、金銭請求権の対象とする違法な解雇・雇い止めについては限定せず、すべてを対象とする一方、請求権を行使できるのは、民事訴訟や労働審判を起こした場合に限るとする考えが示されました。
これまで使用者側は裁判外での行使を認めるべきだと主張していましたが、裁判外での権利行使を認めると混乱が生じるなどの懸念があげられました。裁判や労働審判に限ることで、労働者の抵抗感を抑えたいねらいが読み取れます。
裁判官が示すことになる解決金の構成については、「労働契約解消金」だけにとどめず、解雇後の未払い賃金(バックペイ)についても一定程度含める考えが示されました。解決金が増えるように見せかけることで、労働者側に受け入れやすい仕組みとしたい考えです。
裁判官が行う解決金の算定については、年齢や勤続年数などをもとに算定式をつくる考えを提示。そのさい、解決金について上限と下限を決めることも提案されました。
現行の民事訴訟では個別ケースごとに、さまざまな要素を判断して賠償金額が決められているにもかかわらず、一律にルール化することになります。
検討会では、この論点について専門家から意見を聞くなどとりまとめに向けて審議を急ぐ構えです。