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2018年12月31日(月)

独産業史の大転換点

最後の石炭鉱閉山

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 【ベルリン=伊藤寿庸】かつて欧州最大の炭田があったドイツ西部ルール地方で今月、同国最後の石炭の炭鉱が閉山し、ドイツの産業史の一コマが幕を下ろしました。石炭をめぐり、ドイツは大きな転換期を迎えています。

 21日、最後まで操業を続けていたプロスペル・ハニエル炭鉱(ノルトラインウェストファーレン州ボトロップ市)が閉山し、155年の歴史を終えました。

 閉山式典には、シュタインマイヤー独大統領やユンケル欧州委員長も出席。シュタインマイヤー氏は、「ドイツの歴史の一部が終わる」が、新しい産業など「新しい未来への芽生えを期待する」と述べました。

 シュタインマイヤー氏は、ルール地方の炭鉱に各地から労働者が集まったことが19世紀のドイツ統一の経済的な一歩となったと指摘。他方で、「欧州を死と破壊で覆い尽くしたドイツによる戦争は石炭と鉄鉱によって支えられていた」という歴史を忘れてはならないと述べました。

 式典では、涙を拭う労働者の家族の姿もあり、かつてドイツの高度成長を支えた産業の終わりを感慨深く迎えていました。

 その日の夜、同炭鉱から約40キロのドルトムントでは、独サッカープロリーグ、ブンデスリーガ1部の地元チーム・ドルトムントが、胸に「ありがとう、炭鉱夫のみなさん」と書いたジャージーでプレーしました。

 一方で、低品質の褐炭の露天掘り採掘はコストが安く、地元の雇用問題もあり、続けられています。政府の石炭委員会は、褐炭採掘停止の計画を打ち出しています。同委員会のメンバー、ロナルド・ポファラ氏によると、最後の褐炭炭鉱は2035~38年までに閉山され、産業構造改革費用に150億ユーロ(約1兆9000億円)が必要としています。


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